腐海とシシ神の正体 | 暮らしに虹をかける会

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こんにちは、吉冨です。


一般の畑や田んぼには余剰肥料がのこり、いわゆる肥毒が出現してきます。


これに対応するため、昔から日本のお百姓さんは肥毒を吸い出すのに、「」と「大豆」を植えました。麦は「土を掃除してくれる作物」とも呼ばれてきました。これは土の中に生息する微生物や細菌の力も大きく働いています。


広島に原爆が投下された後、土壌の再生は不可能と言われていました。しかし、これを浄化してくれたのは、雑草たちでした。先に芽を出した草の多くがすぎなだったといわれています。すぎなは土を浄化する作用があるといわれています。もちろんここにも微生物や菌たちのバックアップもあるのです。


このように植物の中には土を浄化する作用をもつものがいます。



◆腐海がうまれたわけ


映画「風の谷のナウシカ」で「腐海」という場所が出てきます。腐海は人間の生存を脅かす猛毒の汚染地として描かれています。





腐海では人間や従来の動植物は一切生息できず、瘴気と呼ばれる毒素を大気中に放出しているため、人間の健康や作物の生育にも深刻な影響を及ぼしていました。


腐海に生息できる動物は、王蟲(オーム)をはじめとした蟲(むし)たちでした。





人々は腐海を、毒だらけの腐った世界ととらえ、腐海の虫や胞子を焼き払おうとしました。汚染された腐海の土や胞子がある限り、わずかでも入り込めばたちまち繁殖して、一帯は腐海に飲み込まれてしまうからです。


そんな中、ナウシカだけが腐海の本当の意味を悟っていました。ナウシカはひとり、城の地下室で、腐海の植物の胞子を育てる研究を行っていました。


清浄な水と空気の中で栽培した場合、一切の猛毒物質である瘴気を出さないこと、また大きく育たない事がわかったのです





瘴気の毒素は、実は、植物が地中の有毒物質を吸い取り、無毒化する過程で生じた二次代謝物で、つまりは人間が放った有毒物質の極一部であるということがわかりました。腐海の植物は、その土地の無毒化を達成すると、次第に枯れていき砂になっていきます。腐れきった腐海の底は清浄の地だったことをナウシカは発見しました。


「腐海は人間が汚した世界をきれいにするために生まれたの。みんなに伝えて。腐海が生まれたわけを。虫は世界を守ってるって。」


腐海の森は、大地の毒が結晶化されてしまうと、老化して崩れていきます。そして浄化された大地は生まれはじめ、草が生え木々が育ち、動物たちが群れてきます。


自然界では死と生は繋がっています。動植物の死体は次の生命へのエサとなり、死は生へと引き継ぎます


一般の畑においても同様です。病害虫は生命力のない野菜を食べます。見込みのない植物は虫が食べ、見込みのある生命力のある植物にその命を授けるのです。


人間が思う以上に、自然の仕組みに無駄はなく、いのちは全てつながっているのです。



◆シシ神の正体


農薬や化学肥料を使い続けると、土の中の微生物が減少し、ミネラルバランスも崩れ、そこで育った野菜は人間の目にはわかりませんが、非常に弱いものが出来てしまいます。その弱い野菜に病原菌がはいったり、虫が食べにきたりするわけです。


その状況を、現代農業では、菌が悪い、菌のせいだと決めつけ、さらに土壌消毒を行います。土壌消毒を行うと、病原菌と一緒に、有用な微生物や細菌までもがいなくなり、植物は微生物による代謝物質をもらえませんので、さらに弱くなっていきます。(抗生物質などの薬づけになった人間も同じ原理ですね)


これらが何年も続くと、有用な微生物がいなくなり、病原菌だけが増殖します。そうすると、土は死に、生産者はさらに肥料を施し、予備的に農薬を撒きはじめるという、悪循環に陥ります。


このことについて、大地といのちを守る会の吉田俊道さんが、著書の中でとてもわかりやすい例えをしています。以下引用しながらまとめます。


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映画「もののけ姫」の中の「シシ神」は菌を象徴している





シシ神が触れると、ある時はそこは生命の泉になり、ある時は死の山になる。


「シシ神は命を与えもするが奪いもする。」


つまり、可能性のない命は食べつくし、可能性がある命は助ける。すべての菌には意味があり、それは感情でも正しいも誤りでもない。


命はすべて循環している見込みのない命は速やかに新しい命の材料にする。





シシ神とつながっていない植物や人は、いつかシシ神に命を奪われる。

共に生きることをやめ、現代のほとんどのもののように、シシ神(菌)を敵にまわしてしまった生命は、いったいどうなるか。


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生命である以上、微生物や菌とつながっていく必要があります。

共生こそ、私たちが選ぶべき道なのです。



※参考:宮崎駿作品、吉田俊道著、内海聡著などその他いろいろなところから引用・参考しています。