虫歯も病気もない民族 | 暮らしに虹をかける会

暮らしに虹をかける会

暮らしに虹をかける会(No more 社会毒!!)のブログです

こんにちは、吉冨です。


現在、日本の国民医療費は38.6兆で年々下がることなく、ますます上昇していますね。国民医療費とは、年間に医療機関で治療のために支出された費用の総額のこと(公費負担を含んだ保険給付費、公費負担医療費、窓口の自己負担を足したもの)です。これに介護費の約10兆円を足せば48兆円を超え、日本の年間一般会計税収の45兆円を上回ってしまうのですから、これはどう考えても非常事態ともいえるでしょう。


本題に入りますが、現在の日本人の虫歯罹患率は95%だそうです。つまり日本人のほとんどが虫歯といっても過言ではないでしょう。歯科医院の数がコンビニエンスストアの全店舗数より上回っているのも何だかうなずけますね。


虫歯について書かれた著書は数々ありますが、今日はウェストンAプライス博士の『食生活と身体の退化』という1939年に初版された予防歯学の名著を簡単に紹介したいと思います。


1920年代(推測)、カナダの歯学博士であるウェストンAプライス博士は、健康の秘訣を求め、世界中を旅しました。プライス博士はこの臨床的な調査の対象として、病気を患っている人ではなく、健康な人を探し求めました。10年もの間、この旅を続け、14ヵ国、数百に及ぶ地域を訪れたそうです。



↓写真はゲール民族。



プライス博士が主に研究の目的としたことは、「虫歯がある人とない人の違い」、「身体の発達と退化のそれぞれの理由」、「顔・歯列弓の不正の原因」、「食事と性格」などでした。


プライス博士が訪れた場所や民族は、スイスのレッチェンタール峡、アウターヘブリディーズ諸島(スコットランド)のゲール民族、アラスカのイヌイット、北カナダの先住民、ニューカレドニア・フィジー諸島のメラネシア人、ポリネシア人(マルケサス・ハワイ・トンガ・タヒチ・クック諸島など)、アフリカ諸民族(マサイ族、キクユ族など)、オーストラリア先住民、ニュージランドのマオリ族、ペルー・インディオなどです。


なぜこのような先住民を訪れたかというと、当時のそれぞれの先住民には大きく2つの特徴あったためでした。それは、「伝統食を続けている民族(=孤立集団)」と「近代食を取り入れた民族(=近代化集団)」の2つでした。


前者の伝統食を続けている民族を臨床的に調査した結果が下記です。


・虫歯がほとんどない
・不正咬合がない、歯列弓の不正がない
・顔や鼻孔の幅が広い
・発達した筋肉と骨格
・優しい性格
・狩猟採集漁労が中心である(農耕民族もいたが、その場合、虫歯の割合が少しある)







さらに驚くべきことは、ほとんどの民族が歯磨き・歯ブラシを一切していないことです。確かに歯にはプラークや沈着物があるものの、虫歯がないということですので、それだけの免疫力を兼ね備えていることになります。ここでいわれる伝統食とは基本的にその地域で採れる土着的な食べ物のことです。


山脈の谷にあるレッチェンタールでは放牧が盛んで、全粒ライ麦、乳製品、野菜、肉などです。アウターヘブリディーズ諸島のゲール民族は、エビ・カニ・ハマグリ・牡蛎などの魚貝類、全粒カラス麦(オート麦)、卵などです。イヌイットは生肉が中心でアザラシ・クジラ・鮭、そして海藻などの海産物や海獣、コケモモの実、また陸で猟をするエスキモーはカリブー(トナカイ)などを食べています。気候上、農耕は難しいので穀物は食べません。北カナダの先住民はオオジカ、トナカイ、熊、魚、海藻などです。ポリネシア人は貝類、タコ、カニ、ナマコなどを生で食べることが多く海産物の摂取が中心でした。アフリカのマサイ族は牛の乳を毎日搾り、ミルクや発酵乳製品が主食でした。約30日置きに仔牛の血を飲むようです(殺しはしない)。また肉もたまに食べるそうです。オーストラリア先住民は魚、ジュゴン、甲殻類、海藻などで、地域によってはカンガルー、ワラビー、昆虫、植物の根・茎、草の実などです。マオリ族は甲殻類・海産物、食用うじ虫などです。ペルーのインディオはラマ、アルパカ、ビキョーナ、野生鹿などです。アマゾン流域になると魚、水鳥、水鳥の卵、果実、ほか植物などです。




一方、後者の近代食を取り入れた先住民族は比較的下記の割合が高いのでした。

・虫歯がある
・不正咬合がある、歯列弓の不正がひどい
・下顎の短小化
・顔に奇形がある、鼻孔が狭いため口呼吸をしている
・結核にかかりやすい

・問題行動がたまにある



ここでいう、近代食とは精白小麦粉、缶詰食品、ジャム、シロップ、砂糖、精白米、植物油、チョコレート、肝臓なしの魚、加糖された果物などの欧米の食文化がもたらしたものです。



これらを考察すると、虫歯や病気の原因はやはり食生活に大きく影響していることがわかります。(もちろん他にも諸因はあります)プライス博士はこの食文化の違いだけではなく、たとえば伝統的な先住民が作る乳製品にしても、近代人が作ったものと栄養成分の比率が全く違っていたことを著書の中で指摘しています。特に脂溶性ビタミンの摂取量の違いです。これは飼料の種類(穀物主体ではなく牧草主体であること)や同じ飼料でも質が違うということにあるそうです。


伝統を重んじている先住民の食事が健康に寄与していることは決して偶然だったということでもありません。彼らは土着的な生活をしつつ、近代人よりも優れた知恵や技術・技量そして食事などによる治療方法があるとプライス博士は言っています。


特に当時先進国で流行していた結核や壊血病は世界中の課題でした。結核や壊血病の治療法がまだ一般には見つからなかった頃、実は先住民はこれらの病気の予防をしっかりと取得していました。たとえば、近代人は肉を食べるときどちらかというと筋肉の部分を食べます。一方先住民は内臓の方こそ栄養(脂溶性ビタミン、水溶性ビタミン、ミネラル)がたくさん詰まっていることを知っているため、それから食べることによってしっかりと病気に対する免疫性を身につけていたのでした。

プライス博士が北カナダの先住民を訪れた時、ビタミンC不足による壊血病のことを知っているか尋ねたところ、実は先住民は既に知っており、動物の副腎と腎臓を食することで予防していると語っています。
非常に背の高いアフリカのヌアー族は「男も女もすべての霊魂は肝臓に宿っており、人の性格や身体の成長は、動物の肝臓を食べることによって自らの霊魂にどれだけ栄養を与えるかにかかっているのだ」という信念をもっています。


また先住民がほぼ共通していることで、成長期の子どもへの特別な食事結婚(妊娠)の6か月前の女性への特別な食事などを与えるという習慣があります。この特別な食事はいわゆるい滋養の高いものといっていいでしょう。例えば、魚卵であったり、肝臓などの内臓食であったり、動物の血であったりです。
こうして子どもにたくましい成長をなしとげさせ、生まれてくる赤ちゃんはとても健康体で育っていくという結果になります。



プライス博士の撮った写真の中で、健康で顔や体格が発達している、正常な歯列弓、しっかりとした顎、鼻孔の正常な幅などをもった先住民を見ていると、いかに今の日本人は顔や体に奇形が多いかがわかります。私たち日本人はその顔かたちや体格、歯並びがいつの間にかそれは普通であるというような認識になっていますが、彼らのたくましい全体像を見ていると、どう考えても奇形の日本人が多すぎます。

プライス博士が何度も強調していることに、海草、魚貝、海獣、野生動物、野菜などを豊富に食べている人は必ずと言ってよいほど種族特有の身体的特徴を発揮し、素晴らしい身体の発達ぶりをみせ、虫歯に対してのとても高い免疫性をもっているというのがあります。これらには現代人の私たちが不足しがちな脂溶性ビタミン、水溶性ビタミン、ミネラル、他微量成分が豊富に入っていることを重視しなければなりません。




よく世間では肉食か菜食かという論争がありますが、この著書を読む限り、私が感じたことは、どちらにせよ、その土地でとれる栄養価の高いものを選ぶことにつきると思います。栄養価の高いものを考慮すると、やはり必然的に動物性食品が摂取効率が良いだけの話であって、決して植物性食品を軽んじているようには思えませんでした(もちろんそういう民族もいるようですが)。


さらに言えば筋肉食よりも内臓食や脂質食を重視している感じがしました。健康体を維持する農耕民族(さつまいも、とうもろこし、豆、バナナなど)も話に出てきましたが、狩猟採集の先住民より、やはり虫歯の罹患率が高いようでした(といっても近代人よりは全然ましです)。


プライス博士も言っていますが、これだけ言えるのは、数百の民族を訪れたが、植物性食品のみを食べている民族で健康なものはだれ一人いないということです

以上、私なりに簡単にまとめると、地域でとれる動物性食品(自然に近いもの)をしっかり摂る特に内臓食や魚卵、魚の目なども意識して食べる、何より質が大事である、ビタミン・ミネラルが多い食品を重視するということになります。


また、特筆すべきは、いわゆる牛乳です。私は公式的には一般の牛乳は有害ですとは発言します。しかし、比較的食べ物の種類が少なく植物が育ちづらいような地域に住んでいる先住民はだいたい牧畜を行っており、そのミルクやバターを常飲常食しています。プライス博士もこの食事には高い評価をしており、その理由としてやはり脂溶性ビタミンの成分量がとても高いことを指摘しています。


私たちが入手できる牛乳と、彼ら先住民が飲んでいる牛乳は全く質の異なるものであり、一概に牛乳は毒であるということは言えないのではないかということになります。牧草主体の飼料と、穀物主体の飼料が明らかに違う点ですが、博士は牧草でも若草がとくにビタミンが豊富であると指摘しています。

※といっても日本人の体質に合わないことは事実ですが。


日本人が彼ら先住民の食事を真似しようとしても、日本の土着的な食べ物とは決して一致しないものもあります。しかし、日本は世界でもまれな四季というものがあり、日本の食べ物はこの四季によってバラエティーに富んでおり、どこの国よりも山の幸、海の幸が豊富なことを忘れてはいけません

私たち日本人の多くが事実上不健康ですが、それを改善する答えは、実はこの四季折々に出てくる食材、近くで採れそうな山の幸、海の幸の豊富さにその答えがあるかもしれません。現存の食糧流通システム、栽培システム、家畜システムには問題が多々あり、それは全て私たちの人体に帰ってきています
それらの課題を大きく排除できたときには日本にはより自然に近い食べ物が豊富になり、実は世界でも有数の食材豊富国家になるかもしれませんね。


でも、私は思います、根拠のない戯言かもしれませんが、日本という国はそういった潜在的な素晴らしい何かをまだ持っているのではと。



最後にプライス博士の言葉で締めたいと思います。


「母なる自然に添うとき、生命は完全な花を咲かせる」