給食から有機野菜が消えた!? | 暮らしに虹をかける会

暮らしに虹をかける会

暮らしに虹をかける会(No more 社会毒!!)のブログです

こんにちは、吉冨です。


大分県のとある地方での話です。


有機野菜農家であるAさんは、昨年まで不定期で無農薬野菜を給食センターに直納していました(センター方式)。しかし、今年から突如として給食用の無農薬野菜の納品ができなくなったのです。Aさんはもちろん何も悪いことをしていませんでしたし、むしろ給食センターの仕入れ担当者からの急な無理なお願いがあっても融通をきかせて臨時納品をするなど、センターからはいつも厚い信頼を得ていました。





私はこの話を聞いて驚き、すぐにAさんに理由を尋ねてみました。


Aさんの話によると、実は、この給食センターでは今年になって、洗浄やカット加工用の新しい機械が導入された関係で、大きさや長さなどの規格の整っていない不揃いの野菜は納品できなくなったということです。


以前までは、現場の調理の方々が加工を手でされていたようですが、時代の流れなのか、効率化の流れなのか、いまいろいろな地域ではこの加工用の機械の導入が推進されつつあります



無農薬野菜を生産するには、とても手間と苦労とリスクがかかります。さらに一般流通の大きさや長さの規格に合わせていくとなると、ほとんどの有機農家さん・自然栽培農家さんでは現段階では難しいです。もちろん広大面積における大量生産型の企業的・有機農業では可能かもしれません。しかし、無農薬農産物市場における作り手のほとんどが中小規模の家族経営型農業です。大きさ・長さを整えていくとなると固定種や在来種を諦め、F1種のさらなる導入をはからなければなりません。(もちろん固定種や在来種でも世代が長くなるほど大きさや長さは均一近くになってきますが、やはりF1ほどではありません。)





結局、Aさんが納品していた給食センターの野菜は、いわゆる農協(JA)が管轄している規格に準じた野菜のみを扱うようになったそうです。つまり、一般の慣行野菜です。





また、給食で納品される野菜の半分以上は入札制です(これらの割合は自治体によって異なります)。給食における入札制とは、その月において、納品できる野菜の価格を各業者に提示させ、一番安いものに決定するという制度です。これなら公平で、コスト面も抑えられるといった仕入れ方法です。


もちろん、誰でも入札に参加できるわけではありません。地元の県産の野菜を取扱い、青果市場での買参権をもっており(または市場流通でなくてもある程度の実績があればOKなど自治体による)、それなりの審査を通過した人・企業などになります。


入札を勝ち得た業者にとってのリスクは、天候不順によって野菜が激減してしまうときです。市場流通での野菜はほぼ毎日価格が変わります。野菜が激減すれば、当然値は高騰し、さいあくは給食における入札金額よりも高く買う必要があり、大損してしまうこともあります。

そうなると、業者はどういう対応をするか。簡単です。相場価格が高騰した時には、市場に出荷された一番安いもの、極端な話、粗悪なものを購入すればよいのです。安い商品にはそれなりの理由があります。


また、給食センターでの加工が機械ではなく人の手によるものでしたら、大きさなどの規格はそこまでうるさくありませんので、業者は例えばキャベツであれば大きなものを選べば安く買えます。大きなキャベツは、大きくなるだけの原因があります。もちろん天候などにもよりますが、肥料過多が原因であることも多いのです。化学肥料の窒素分をある程度増やせば野菜は割と簡単に大きくなれます。しかし、余剰の窒素分は、人体には良くないものです。


給食に対して、どこまで私たちの意見や要望を提言できるかはまだわかりません。コストの面もあるでしょうし、現場の方々の意見もあれば、他の保護者さんたちの意見もあるでしょう。

しかし、給食を食べているのは私たち大人ではなく、与えられたものを食べるしかない、選択のできない子ども達なのです。化学物質などの犠牲はまずは子ども達です。給食がいやなら食べなければいいだろという人もいますが、毎日お弁当をもたせるのが難しい家族もとても多いのも現実です。

成長期でまだ体の小さい子ども達の口に入るものは、できるだけ添加物や農薬などに頼らない食べ物にするのはやはり大人の役目です。


子どもの体を形成する食事供給のほとんどは家庭でしょうが、残りの三分の一~二分の一が給食です。少しでも安全なものを使ってほしいという要望は保護者としての当たり前の姿勢だと思います。