『BORDER』 | kurarizumのガタガタ日誌。

『BORDER』

今期のドラマの中では、珍しくほぼリアルタイムで全話の視聴が終わりました。

スタート時はそれほど話題にならなかったものの、少しずつ視聴率が上がっていたようです。

この設定を基にした、オリジナル小説の売り上げもよかったみたいですね。

小栗さん演じる刑事石川が、とある事件で頭部に被弾し、弾丸が脳内に留まったまま、奇跡的に命を取り留めたところ、死者が見えるようになり、会話もできるようになってしまったという、荒唐無稽な設定です。

脚本を担当しているのが、フジテレビ深夜枠のドラマ『SP』を大当たりさせた金城氏。

もともとは、同名タイトルの漫画の原作というか、原案だったのかな?(読んでいないから詳細が分からないのですが)

主人公が幽霊が見えるというストーリーは、『陰陽屋へようこそ』の原作者天野頌子氏の『警視庁幽霊係』という小説シリーズや、最近では河野裕氏の小説『つれづれ北野坂探偵舎』シリーズなどがあります。

そういうのを読み慣れていたから、舞台が小説ではなく、ドラマになったとしても、それほど違和感を感じずに見ることができました。

1話目を見た段階で、暗くていやだと、敬遠してしまった友人知人もいたりはしますが…。

まあたしかに、鬱々としたストーリー展開に、小栗さんの抑えた演技もあって、爽やかな刑事ドラマとはなっていません。

でもやはり幽霊絡みのお話となると、こういった方が「雰囲気」が出てよかったと思います。

宮藤さんがゲスト出演した回だけは、異色のコメディタッチでしたが。(笑)

脇を固める人たちも個性派揃い。

なんで毎回「彼女」がミニスカートじゃなきゃいけないのかな~?とか、実際こんな監察医いるわけないだろ~、という突っ込みは聞こえなかったことにして。(そもそも幽霊が見えること自体おかしいのだし)

そんな脇役たちとの、どこかしらぎくしゃくした関係のその後や、いつ石川が自身の状態を他人に話すのか(またはバレるのか)、裏社会の連中との今後の展開は?

初回冒頭での銃撃事件の真相はいかに?

そんな疑問を常に抱きつつ、回を追うごとに、少しずくいろんなところが様々な動きを見せ、チームワークみたいなものもできるようになり、最後には謎の解明なども行われるのだろうと、漠然と考えていた、ありふれたストーリー展開は、ものの見事に裏切られました。

最終回のひとつ前。

いきなり銃撃事件の真相が暴かれてしまいます。

しかも、呆れるくらいショボい結末。

あんな現場近くで犯人同士が落ち合おうなんて、普通考えないだろ、警察官なら!

そんなことなら、捜査協力してくれていた「コンピューターおたく」の2人が犯人でしたの方がまだよかったのに。(泣)

そして最終回。

いろんな脇役たちとの関係、全部放り出したまま、勝手に暴走した石川は、あっさり人としての一線を越え、「あっち側」に行っちゃいました。

それまでの物語でも、犯人が分かっているのに権力の壁にぶつかり、逮捕できなかったこともあり、石川が少しずつ「壊れて」いたのはわかっていたものの、いくら絶対的な悪意に直面したからとはいえ、余りにも呆気なさ過ぎ。

何なんだこれは?

久しぶりに、後味の悪いドラマでした。

まあ、能天気な刑事ものや、やたら正義ばかり振りかざす「正しい」刑事ものがあふれている昨今、こういうのが1作くらいあってもいいでしょう。

ただ、あと3話くらいは、壊れていく石川をしっかり描く時間がほしかったです。

一線を越えてしまった彼が今後どうなるのか?

いつかそれを描いたスペシャルが作られるかもしれません。

おそらくとてつもなくいや~なドラマになってしまうでしょうが、見てみたいです。

ところで、このドラマのメインテーマが耳について離れません。

誰か、何とかしてくれ~!(笑)

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