『ひらばのひと(1)』久世番子(2021、モーニングKC) | 倉山塾東北支部ブログ

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ひらばのひと(1) (モーニングコミックス)

 

 

「冬は義士。夏はお化けでメシを食い」


江戸に行くために新幹線や高速バスといった

文明の利器を使ってもなお半日がかりとなる

山深い秋田の片隅にもラジオの声は届いていました。


今や周波数のダイヤルを

ミリ以下の単位で調整する必要はなく

ネットに繋がりさえすれば

津々浦々のラジオが聴ける良い時代です。


ネットがここまで普及する前、

私が文化の香りを嗅げるのは

ラジオだけだったように記憶しています。


カーラジオから流れるFMも

嫌いではありませんでしたが、

遠方の放送局のAM電波を

拾って聴くほうが私の好みでした。


淡い思い出をたまに振り返ったりして

日々を暮らしていたところ、

衝撃のニュースが飛び込んできます。


文化へのアクセスが未だに厳しい

キングオブ田舎の秋田県で一番の大都会に

久方ぶりに江戸から講談師がやってくる。


となれば、妻子(イマジナリー)を質に入れてでも

行かずばなるまいでしょう。


案の定、800人入るホールは

押すな押すなの超満員。

私の席は2階席の一番後ろ。


演者が豆粒のようにしか見えぬ席ではあれど

ホール全体に響く大音声と張り扇!


客席の集中力は話を重ねるごとに増していき

前席の咳き込んでいた人の咳も止まっている…

そして!

なんとなんと!ここで文字数が!

この続きはまた次回!