読書感想文:中島みゆき『中島みゆき全歌集1975‐1986』 | 倉山塾東北支部ブログ

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中島みゆき全歌集1975-1986 (朝日文庫)

 

私は、明るい曲よりも暗い曲の方が好きだ。

 

暗い曲の方が、人の心をより的確に表現しているからだ。

 

確かに、明るい曲で元気をもらうとか、与えるというのも大事なことだ。

 

しかし、人間「頑張り」には限界がある。

 

 

挫折や失敗を経験していない人間には、他人の痛みは分からない。

 

自分の人生を振り返れば、挫折や失敗だらけ。

 

なんとか人並みの生活が出来てきたのは、つい最近のこと。

 

とてもではないが、他人に誇れるような人生ではなかった。

 

だが、その分他人の痛みは分かる人間になれたと思っている。

 

 

その、心の痛みにものすごく沁みるのが、この人の曲なのだ。

 

 

中島みゆきの曲は、いい曲がたくさんある。

 

メロディーも秀逸だし、なにより歌詞がいい。

 

本書に収録されている曲も、好きな曲がたくさんある。

 

 

その中で、特に強烈に刺さったのは…

 

「世界じゅうがだれもかも偉い奴に思えてきて

まるで自分ひとりだけがいらないような気がする時」(蕎麦屋)

 

 

「ひとの不幸を 祈るようにだけは

なりたくないと願ってきたが

今夜 おまえの 幸せぶりが

風に追われる 私の胸に痛すぎる」(怜子)

 

 

だろうか。

 

 

この二つの歌詞通りの気持ちに、これまでどれだけなってきたことか…

 

 

今の状況がしんどくて仕方ないときや、なんだか周りとうまくいかないとき、

 

自分だけが要らない存在に感じる時って、あるんですよ…

 

 

他人の不幸を祈るようにはなりたくないけど、それは自分の心に余裕がないとできないんですよ…

 

そんなことを、曲を聴くたび、しみじみと思う。

 

 

 

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