『孫子』と『戦争論』は、東西を代表する戦略書として有名です。
ですので、数多くの書物で、この両書が比較され、様々な分析が行われているところです。
しかし。
軍事や戦略、あるいは西洋の近代史に関心のある人を除けば、孫子やクラウゼヴィッツは知っていても、ジョミニの名前を聞いたことのある人は、そんなに多くはないと思います。
そして、ジョミニに関する本もまた、孫子やクラウゼヴィッツほど出ているわけでもありません。
『ジョミニって、誰??』
というのが、大概の人の反応でしょう。
ですが、ジョミニの思想は、孫子やクラウゼヴィッツに優るとも劣らぬほどの影響を、世界中の軍人に与えてきました。
例えば、アメリカ海軍の軍人・アルフレッド・セイヤー・マハンが、その代表です。
海軍軍人でありながら、陸軍軍人のジョミニの影響を強く受け、その影響の下、『海上権力史論』や『海軍戦略』を著しています。
『戦争論』は、長く難解な文章であったこともあり、ジョミニの著作は広く読まれることになったのですが、それほど世界中の軍人に影響を与えたはずなのに、クラウゼヴィッツほどの知名度はありません。
…不思議なものですね(笑)
そんなジョミニも取り上げ、孫子・クラウゼヴィッツも含めた三者の主張を比較・分析して、分かりやすく解説してくれているのが、本書です。
この三者の見解の相違などがよく分かると同時に、もっともっと勉強しないと、と思わされました。
戦争の達人たち―孫子・クラウゼヴィッツ・ジョミニ | マイケル・I. ハンデル, Handel,Michael I., 防衛研究所翻訳グループ |本 | 通販 - Amazon.co.jp