読書感想文:宮城谷昌光『沙中の回廊(上・下)』(文春文庫 2004年) | 倉山塾東北支部ブログ

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春の異動で、7年ぶりに歴史の話ができる数少ない先輩社員(一回り以上年上ですがw)と再び同じ職場で仕事ができるようになりました。

 

その先輩社員の方は古代中国が大好きで、ドシドシ

『これ読んでみれぇ!!』

と本を貸してくれるので、読むべき本がどんどん増える今日この頃です(笑)

 

そんな本の中でも、本書の主人公・士会については、紹介されるまで全く知りませんでした。

 

春秋時代の晋の宰相を務めた人物で、また名将でもありました。

 

士会の為人や功績などを考えれば、『史記』の列伝に取り上げられていて然るべきでは、と思うのですが、残念ながら『史記』の列伝には登場しません。

 

今更、司馬遷に文句もつけようがありませんが(笑)

 

一度は故国・晋から逐われ、秦に亡命することまで余儀なくされますが、その晋に再び仕え、宰相にまで上り詰める才能は、流石です。

 

士会以降の士氏は、范という地を領有したので、范氏と称し、晋の六卿となりました。

 

もっとも、その六卿のうち、最後まで残った趙・魏・韓氏が、そのまま戦国七雄になり、范氏は滅亡するのですが…

 

春秋・戦国時代には、名宰相・名将とされる人物は多くいます。

 

管仲・楽毅・孫武・伍子胥・范蠡・呉起などなど…

 

そんな、錚々たる顔触れに混ざっていてもおかしくない実力の持主・士会。

 

これほどの人物を知らなかったとは、まだまだ勉強不足ですが、まだまだ知られていない人物を発掘するのも、歴史の面白く、やめられないところです!

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