マイケル・ハワード 著 奥山真司 監訳『クラウゼヴィッツ『戦争論』の思想』(勁草書房 2021年)読了。
クラウゼヴィッツ『戦争論』と言えば、軍事に関心なるものならば一度は目を通しておきたい書物です。
『戦争論』(岩波文庫版)を初めて手に取ったのは小学生の時でしたが、圧倒的な文量かつ小学生が読むには難解な文章でサッパリ頭に内容が入らず、さすがに通読することは出来ませんでした。
どうしても「長い」「難解」というイメージが強く、並び称される『孫子』、あるいはジョミニの『戦争概論』と比べてもとっつきづらい感は否めません。
『孫子』や『戦争概論』、リデルハート『戦略論』、マハン『海上権力史論』、フラー『制限戦争指導論』などは学生時代に一度は読みました。
そこで『戦争論』もそろそろ、ということで複数の訳を買ったり、解説本を買ってみたりしたものの、その解説書すらもなかなか読めずにいました。
ですので、本書がクラウゼヴィッツ関係で初めてきちんと読めた本、ということになります。
クラウゼヴィッツが『戦争論』でどんなことを言おうとしているのか、ということをざっくりと掴むことができます。
それから、『戦争論』と言うとよく「未完成の書」のような言われ方をされることがあります。
確かにクラウゼヴィッツ自身、完成しているのは第一篇第一章だけだと言ってはいますが、ではその他の部分が価値がないのかと言えばそれは全く違います。
未完成な部分にこそクラウゼヴィッツに学ぶことはたくさんあると思うので、本書を出発点に『戦争論』に挑んでいきたいと思います。
クラウゼヴィッツ: 『戦争論』の思想 | マイケル・ハワード, 奥山 真司, 古池 典久, 中谷 寛士 |本 | 通販 | Amazon