読書感想文:鳴神響一『斗星、北天にあり 出羽の武将 安東愛季』 | 倉山塾東北支部ブログ

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鳴神響一『斗星、北天にあり 出羽の武将 安東愛季』(徳間文庫 2021年)読了。

 

約半年ぶりに読んだ小説。

 

東北の戦国大名というと、圧倒的に知名度が高く人気もあるのは伊達政宗。

 

他にも沢山の戦国大名がいるが、歴史に興味のある人以外にはあまり知られていないような気もする。

 

政宗以外にも、最上義光、南部晴政、九戸政実、蘆名盛氏、津軽為信、相馬盛胤、戸沢盛安等々、東北にも名将・勇将は多い。

 

そんな中で、我が秋田が誇る名将と言えば、本書の主人公・安東愛季。

 

家中は檜山・湊と分かれており、その上に十三湊を南部氏に奪われて勢力が衰えていた安東家を、再び周囲の強力な勢力に対抗できるだけの勢力に育て上げたのが愛季である。

 

十三湊の奪還こそならなかったものの、分家筋にあたる(事情はもう少し複雑なので「分家」という表現が適切ではないかもしれないが)湊家をいわば吸収合併し、県北の諸勢力を降し、由利郡から庄内にかけての地域にまで影響力を持つまでに至った。

 

当時の状況を見れば、中央では既に信長・秀吉が確固たる地位を築き上げていたために東北を統一し中原に打って出るには遅すぎ、また領土を拡げるスピードも遅かったが、地域の一大勢力になれるだけの能力は充分にあったのではないか、と思われるのである。

 

それと、安東氏の本姓は安倍氏である。

 

すなわち、「源平藤橘」などを本姓とする氏族ではなく、東北土着の氏族であるというところもまた、東北人としては惹かれるところがある。

 

というところで、とても面白く読むことのできた1冊。

 

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