倉山満『史上最強の平民宰相 原敬という怪物の正体』(徳間書店 2021年)読了。
本書で印象に残ったのは、原敬の政治力、政争家としての実力である。
政争に関しては誰も原には勝てなかった。
政治家としての原敬の評価は、絶望的な外交センスのなさや我田引鉄などの政友会の権力拡大のための政策が目立ち、またそれらが現代に至るまで影響を及ぼしているという点でマイナスの評価をせざるを得ない。
だが、その政治力は元老たちをも屈服させるほどのもの。
現在の政治においても、正しい政策を実行してくれる政治家が原のような政治力を兼ね備えていればどれほどいいだろうか、と考えてしまう。
なかなか双方併せ持つ政治家というのはいないが、いないのならば我々がそういう政治家を育てねば。
また、我々も会社をはじめ様々な組織の中で生きている。
組織内で生き抜いていくために、あるいは自分のポジションを確立するために、原のやり方は、その良し悪しは別にしても非常に参考になるものだ。
そしてもう一つ。
終章で少し触れられていた教育改革について。
原の教育改革は高等教育を充実させたように見えて実は、現代に至る偏差値教育の起源となっている、というところ。
これも根深い問題であり、日本の教育を建て直すには避けては通れない。
これをはじめ、原のした様々なことは現在にも重大な影響を及ぼしている。
自らの政策の影響で日本が滅ぶのは、尊王家の原は望むところではないだろう。
東北人のしたことで悪い部分は東北人の手で修正しなければ。
そう思わされた1冊。