読書感想文:平間洋一『第一次世界大戦と日本海軍―外交と軍事の連接』 | 倉山塾東北支部ブログ

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平間洋一『第一次世界大戦と日本海軍―外交と軍事の連接』(慶応義塾大学出版会 1998年)読了。

 

平間先生の著書の中でも名著と評判の1冊である。

 

第一次世界大戦は欧州大戦と言うべきものであり、日英同盟があったとはいえ直接主要な戦闘に参加していない日本の存在というのは、全く目立たない。

 

したがって、第一次世界大戦に際して実は日本海軍が、東はメキシコから西は地中海にまで派遣され、意外な活躍をしていたことなどほとんど知られていない。

 

日露戦争や大東亜戦争に関しては、様々な本が出されたり研究が進んでいたりするが、第一次世界大戦に関しては当事者という意識が薄いのか、本書のような本を見ることがほとんどない、と言ってもいいと思う。

 

華々しい戦闘はしていないながらも、日本にとって第一次世界大戦という戦争はその後の世界情勢を考えるにあたって非常に重要なものであった。

 

その一方で、当時の日本国内の様々な事情はあるにせよ、もっと「こうしておけば良かったのではないか」という点も多々あったことも事実。

 

そして、日本とイギリスの相互不信から日英同盟の破棄と続く関係の悪化がその後の世界にどれほどの悪影響を及ぼしたのか。

 

なぜ日本は同盟国イギリスではなく、敵国ドイツに傾斜していってしまったのか。

 

そうしたことも含めて、日本の近現代史を学ぶ、あるいは帝国陸海軍のことを学ぶにあたっては必読の1冊である。

 

さらに、この続編の『第二次世界大戦と日独伊三国同盟』『イズムから見た日本の戦争』の2冊も併せて読むといいだろう。

 

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