小林道彦『近代日本と軍部 1868―1945』(講談社現代新書 2020年)読了。
以前チャンネルくららの番組で、小林道彦先生の『大正政変』がチラッと紹介されていたことがあった。
そこで、小林先生の名前を憶えていたところ、本屋で小林先生の新書を発見。しかもタイトルが何とも興味をそそられるものだったので、読んでみることにした。
総頁数546頁と新書ながら非常に分厚く、読みごたえは充分だった。
さて、本書は明治維新から大東亜戦争の敗戦までを帝国陸海軍を軸に描いているわけであるが、読んでみて時代が下るにつれて、どんどん「お役所仕事」的な言動に終始するようになっていったのだなということを一番感じた。
「軍部」と一括りにされ語られることが多いが、陸軍と海軍、さらに陸軍でも陸軍省と参謀本部、海軍でも海軍省と軍令部に分かれているため、それぞれの主張が対立する。
ざっくり分けるだけでも4つだが、そこにさらに派閥のようなものが絡んでくると、より複雑になる。
各人がポジショントークに終始し、組織のことしか考えていない節が見受けられるというのは、本書でもよく分かった。
一方で、少々物足りなさを感じたのは、コミンテルンなどの共産主義組織の影響などの側面や、大東亜戦争の章のところで「戦争を止める止めないは勝っている方が決める(負けている方に決定権はない)」という考え方が少し薄いような記述があったことか。
ともあれ、帝国陸海軍に興味のある人は勿論だが、日本の近現代史を学びたいという人も一通りの復習になる1冊。
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