坂本祐信『近現代日本の軍事史 第2巻 政軍関係混迷の果てに』(かや書房 2014年)読了。
第2巻は、満洲事変前夜から大東亜戦争終結までということで、昭和5年頃から昭和20年までを扱う。
この15年間を改めて振り返ると、大日本帝国が奈落の底に転落していく期間なのだということがよく分かる。
経済失政、政党政治の腐敗、いわゆる「軍部」の台頭と、その「軍部」の中での権力闘争、それに加えてコミンテルンやソ連の工作、共産主義の浸透等々、大日本帝国が滅びる要因となった様々なことが凝縮されている。
支那事変を終結させなければならないと言っても、「国民政府を対手とせず」と言って話をつけるべき相手の蒋介石率いる国民政府との対話を自ら拒み、事変の終結を極めて困難にしたり、帝国国防方針も、相も変わらず陸軍と海軍の妥協の産物(北進論と南進論の併記)であり、国家としてどうするのか、というところが極めて曖昧なものとなったり…。
今挙げたようなこと以外にも、「いやいや、それはおかしいだろ」ということが非常に多い。
読めば読むほどに、政治家も軍人も官僚も、その多くが自分の所属している組織の視点でしか物を言わず、全体を見るということができていなかったのだな、とつくづく思った。
これを言い換えれば、「お役所仕事」であろう。
今なお我々は「お役所仕事」の弊害に苦しんでいるわけであるが、それは何も今だけの話ではなく、当時からそうだったのだ。
塾長の著書『お役所仕事の大東亜戦争』の内容をより理解するためにも、読んでおくといい1冊。
近現代日本の軍事史〈第2巻〉政軍関係混迷の果てに―満州事変前夜から大東亜戦争終結まで | 坂本 祐信 |本 | 通販 | Amazon