原田泰『若者を見殺しにする日本経済』(ちくま新書 2013年)読了。
若者のために書かれた若者のための日本経済論、そして、提言の書、と言っていい本である。
いかに自分たちが現在の日本社会で不利な立場に置かれているか、そうした現状を打破するためにはどんなことが必要なのかがよく分かる。
本書では、社会保障を切り下げること、若者の格差を縮小すること、金融緩和政策を行うことなどいくつか処方箋を提示しており、すべて若者のため、日本のために必要な政策であるが、とりわけ興味を引き付けられたのが、教育をよくすること、である。
いじめ問題についても取り上げられており、それも含めて現在の日本の教育の問題を指摘している。
本筋から外れるのでこれ以上踏み込まないが、いずれにしても「いじめ」と呼ばれる行為については、「いじめ」などとぼかさず、はっきり犯罪として法の下に裁かなければならない。
「教育をよくするには、大人の事なかれ主義を排することが必要である。教育は社会の求めていることに耳を傾けるとともに、真実を探求しなければならない。力を持つ人々が何を言ってほしいかを探ることではなく、何が真実かを探求することが社会を前進させる。それが若者のためであり、未来を拓くことにもなる」(p236)
国の未来は若者が作る。その若者をきちんと教育できない、そしてみすみす「殺して」しまう国家に未来はない。
若者にも是非読んでもらいたいし、私自身、後進の育成をきちんと行わなければ、と改めて思わされた1冊である。
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