渡瀬裕哉『2020年大統領選挙後の世界と日本 “トランプorバイデン”アメリカの選択』(すばる舎 2020年)読了。
2020年の大統領選の展望はもちろんだが、アメリカ政治をどのような視点から分析したらいいのか、というところでも非常に参考になる内容である。
まずは第一章で指摘されている「大統領のアキレス腱」。
これは何かというと、選挙自体や連邦議会の構成の他に大統領の政治的意思決定を左右するものとしての「支持団体」「資金提供者」「外国の指導者」のことである。
「アキレス腱」となる組織や個人によって行動が決定されるアメリカ大統領の政策が、日本にも多大な影響を及ぼす、ということがよく分かった。
さらに、コロナ騒動前までのアメリカ国内の情勢、コロナ騒動とジョージ・フロイド事件の影響といったことも、テレビや新聞などのメディアがおよそ報じないようなところも丁寧に書かれている。
こうした、ぜひ押さえておきたい情勢分析もきちんと書かれていて、勉強になる。
また、最終章の「日本への提言」も、非常に参考になる。
最終章では、現在の日本に必要な4つの研究機関と近代政党について書かれている。
結局のところ、日本を取り巻く状況をきちんと研究する機関、そしてそうした研究機関の成果を政策に活かし、実現できる意思と能力を持った近代政党が必要であるということがよく分かった。
アメリカ政治を読み解く際にも、また日本の取るべき政策を考える際にも、非常に参考になる良書である。