読書感想文:内藤陽介『みんな大好き陰謀論』 | 倉山塾東北支部ブログ

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内藤陽介『みんな大好き陰謀論 ダマされやすい人のためのリテラシー向上入門』(ビジネス社 2020年)読了。

 

以前のチャンネルくららでの内藤先生の番組「きちんと学ぼう! ユダヤと世界史:ユダヤ陰謀論を叱る」の内容の一部を書籍化したものが本書である。

 

この番組の話は他の東北支部の方からも

 

「ユダヤを語るならこの番組は必見!早く書籍化されればいいのに」

 

と聞いており、この番組を視聴していなかった私としては、待望の1冊だ。

 

さて、本書全体の感想としては、

 

「ある物事を知るには、まずはそれに関わる確実な事実や歴史をしっかりと押さえなければならない」

 

ということだ。

 

やはり、様々な事柄に関して、それに関する知識(例えば歴史的事実など)をしっかりと身につけておかないと、一見それらしいように見えるけれども何の根拠もなく事実に基づかない話、つまり陰謀論のような話に引っかかってしまうのだと思った。

 

世の中の大概の人は、何か事件などが起こったり話題になっている事柄があると、それに関する分かりやすい話、それっぽい話を好むきらいがあるように見える。

 

自分で知識がないにもかかわらず、そのことに関する事実や前提となる知識を自分で勉強しようという意識が希薄で、テレビや新聞など、他の人が言っていることを、自分の頭で考えることなく、ほぼ無条件に鵜呑みにしてしまう。

 

この本を読んでいて、オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』を思い出したのだが、結局オルテガの言うところの”大衆”が、陰謀論に簡単に騙されてしまうのではないか、と思った。

 

そして、陰謀論に簡単に騙されないようにするには、やはり日々地道にコツコツ努力を重ねて、確実な歴史的事実をきちんと押さえていくということが非常に大事なことなのだなと思った。

 

また、本書はユダヤに関わる話であるので、ユダヤ人の辿ってきた歴史、ユダヤ人が関わってきた事柄の事実についてしっかりと書いてくれている。

 

普段あまり聞くことのない、そして今まで知らなかったユダヤに関する歴史的事実を本書で知ることができた。

 

それと、ユダヤ人の話というのは遠い異国の話のように捉えているのか、我々日本人にはさほど馴染みがないように感じる話なのでよく分からないところがあるが、想像以上に世界中でいわれのない迫害を受けてきたこともよく分かった。

 

人種差別というものにほぼ縁のない日本人からしたら、「○○人」であるという理由だけで迫害されるというのは、全くもって理解しがたいのだが、欧州人は根深い反ユダヤ主義があるのだということがよく分かった。

 

それを踏まえると、外交というものを考えた場合、当たり前ではあるが交渉相手の欧州人の物の見方・考え方、彼らの常識・認識といったものをしっかりと理解した上でやらなければならない。

 

相手を知ることは、自分を知ることにもつながる。

そういう視点で言えば、外交だけではなくインテリジェンスにも関わってくる話である。

 

 

…少し話が広がってきてまとまらなくなりそうなので、そろそろこの辺で。

最後に、日々の学びは大切だということを本書で再認識させられた。

もっともっと精進して、陰謀論に騙されないように賢くならなければならない。

 

そんなことを考えさせられた1冊だった。

 

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