今回は東北支部必読書になりつつある、木下斉『稼ぐまちが地方を変える 誰もいわなかった10の鉄則』の感想です。
主に地域で企業するときの鉄則を教えてくれるのですが、ビジネスに限らず、組織づくりの基本としても役立つ話です、
日本の、特に地域社会がなぜ衰退し、度重なる行政の支援があっても上手くいかないのか?を知ることができるので、将来的に起業する気が全く無い方にもおススメできます。
また、地域経済とは何か?を突き詰めると会社経営者というよりも「地主」という結論に行きつくという話もわかります。
もはや教科書にして欲しいレベルです。
さて、本書は三章で構成されています。
序章 学生社長、ハゲる
第一章 まちから「利益」を生み出そう
第二章 まちづくりを成功させる「10の鉄則」
第三章 自立した「民」がまちを変える
序章のタイトルで木下さんが好きになりました。
序章と第一章では、著者自身の過去の経験、主に失敗を赤裸々に書かれており、「何も隠すつもりはない」という気概と、それに裏打ちされた自負を感じさせます。そもそものきっかけが乙武洋匡さんだったというのは意外でしたね。
第二章でメインとなる10の鉄則が紹介されます。
鉄則① 小さく始めよ
鉄則② 補助金を当てにするな
鉄則③ 「一蓮托生」のパートナーを見つけよう
鉄則④ 「全員の合意」は必要ない
鉄則⑤ 「先回り営業」で確実に回収
鉄則⑥ 「利益率」にとことんこだわれ
鉄則⑦ 「稼ぎ」を流出させるな
鉄則⑧ 「撤退ライン」は最初に決めておけ
鉄則⑨ 最初から専従者を雇うな
鉄則⑩ 「お金」のルールは厳格に
木下さんはYoutubeもやってまして、この10の鉄則については丸々説明があり、少しでもこの考え方が広がって欲しいという願いを感じます。
個人的には一番難しいのが③、次が⑧と⑩だと思いました。
③の「一蓮托生のパートナー」という言葉は「ズッ友」とか無責任なレベルじゃないスゴ味があります。人生において友達が要らないとは言いませんが、事を成すにおいて必要なのは仲間なんですよね。
⑧の「撤退ライン」は決めるだけならいいとしても、その時が来てしまったらまたモメるんだろうから血判レベルの合意をやっといた方が良いんでしょうね。
そして⑩「お金のルール」これも難しいでしょうね。むかーしアメリカで、自分がパートナーにしてあげたことと、自分がパートナーにやってもらったことをそれぞれ書き出させる実験をしたところ、35倍の差で自分のほうが相手に尽くしていると思っていた、という結果が出た話を思い出しました。どんなに謙虚に見えても、人間は必ず「成功は自分のおかげ」「失敗は他人のせい」と思うように出来てます。定期的に見直すことは可能でも、やっぱりモメやすい場所でしょうね。あらかじめ魂をぶつけ合っておきましょう。
第三章では、こういった取り組みを実践した先に見えるものの話が紹介されます。
地域がそれぞれ独自の発展を遂げ、官と民が緊張感を持って協力し柔軟に成長し続ける社会、本当に強い地域を実現させるためには、本書にあるような現実や事実がもっと広く知られるべきだと感じました。有名大企業で働くのと同じくらい、地元で働くのがカッコいい、となって欲しいものです。
本書には最後に付録として「まちを変える10の覚悟」が載っています。まだ読まれていない方は是非ご一読を♪