片桐繁雄『戦国の明星 最上義光』(最上義光歴史館 2014年)
郷土の偉人、と呼ばれる先人たちは
知名度の有無に関わらず
必ずと言っていいほどいるものです。
銅像が立っていたり、
○○記念館、のようなものもあったりします。
大人になってからは、なかなか訪れることも
ないだろうとは思いますが…(笑)
小学校の時分は、調べ学習みたいなもので、
郷土の偉人を調べたりしていたような記憶も
かすかにあったりします。
様々な人物がいるでしょうけれども、
地元の戦国武将や幕末に活躍した人物あたりが、
やはり人気だったりするのでしょうか。
名前だけ知ってはいても、
具体的に何をした人なのか分からなかったり、
一面的な情報しか持っておらず、
偏った評価をしたりすることも
ままあることです。
そんな人物の一人が、
出羽を代表する戦国大名・最上義光。
戦国時代を少しかじったことのある人ならば
誰もが知っている山形の名将。
秋田県人としては、安東愛季を挙げたいところですが…(笑)
最上義光と言えば、
父・義守との不和や弟・中野義時を自害に追い込む、
といった話が有名です。
しかし、父子の争いは事実としても、
義守死去の際は盛大に葬儀を執り行っています。
また、弟を自害に追い込んだ話は
同時代のどの史料にも記載がなく、
事実かどうか分からないようです。
むしろ、本書から伝わってくるのは
そうした陰険なイメージではなく、
領民からも家臣からも慕われる名将ぶり。
一面的な情報に頼るというのは
ものの本質を見誤るものだと、
最上義光を通して改めて感じました。