ボクは、レスリー・アンダーソン。
いつか空を飛ぶのが、幼い頃からの夢さ。高い所からブランケットを両手に握りしめて飛んで腕を骨折したのを始め、手作りのターザンロープで崖を飛び・・成功したものの肩を骨折、なんてことをやらかしてきた。
母さんにはえらい心配ばかりかけたが、夢をあきらめることは決してなかった!
だから、飛行船の話を聞いた時には体が勝手に動いていた。
ジェスターさんに必死に頼み込んでバイトとして雇ってもらった!
もちろん、必死で勉強もした。
そしてこの日、初のテスト飛行!
ふわりと浮き上がった時は、自分がまるで鳥になったような気がした。
高度を上げてぐんぐん高く吸い込まれるように昇って、ついに風をつかまえた。
すると今度は滑らかに前へと進んで行く。
成功だ!
我々は歓声を上げて抱き合った!
けれど次の瞬間!
「おい!木にぶつかる!」
「高度を上げろ!」
「やってる!・・サル?いや、人が?」
「え?う、うわわわ!女の子が!なんでえ?」
「レスリー!戸を開けて中に入れろ!」
ジェスターさんが叫ぶ!
「はあ?そんなこと、で・・!」
「あの子の生命を守れ!」
「い・・!」
このままぶつかったら・・!
ボクはその瞬間、信じられない力が湧き上がるのを感じた。
「キミ!あぶない!」
女の子がこちらを向いた時、ちょうど腕が浮いたのを逃さず手を回してキャッチ!
そのボクを、ジェスターさんがすかさず船の中に引き入れてくれた。
タイミングが少しでもズレていたら3人の生命は危なかった。
ホッとすると同時に今さら身体が震え出し、冷や汗が流れ出す。
それを必死で拭き取りながら、なんとか落ち着こうと焦った。
けれど女の子、ニニは落ち着いていて何が起きたのか理解したのかしないのか、この飛行船を気に入ってくれたようだ。
高度が上がらなかった不具合は、すぐに戻せるだろう。
もう、あの木にぶつかることは二度とないはずだ。
そして、ニニ。
あの時ボクは見たんだ。
キミがボクの声に振り向いたあの時、
下から風が巻き起こり、まるでキミをボクの元に押し上げるようにしてくれたんだ。
その時キミのそばに真っ白な翼の・・
そう、天使のようなものが、
見えた気がしたんだ。
続きはまた来週!
お楽しみに♡