川勝平太静岡県知事が入庁式訓示での職業差別発言を理由に辞意を表明した。このことについて川勝氏を擁護する気にはならない。しかし、これまでリニア新幹線の建設は川勝氏が抵抗して静岡県内での工事が始まらなかったせいであり、川勝氏がやめれば建設工事が進む、というような報道には違和感を覚える。
川勝氏がリニア建設に反対したのは水資源の問題だ。計画ではリニア新幹線は南アルプスを貫く長大なトンネルで静岡県北端を通過する。このトンネルが地下水脈を遮り、県を南北に貫く大井川の水量を減らすのではないか、というのが川勝氏の指摘だが、リニア新幹線を建設するJR東海の説明には川勝氏だけでなく、多くの住民は納得していない。
そもそもリニア新幹線はそのほとんどの区間がトンネルの中であり、南アルプストンネルの他にも長大なトンネルが地中深くに建設されることとなる。それらのトンネルの自然環境や沿線住民の生活環境への影響はどうなのか?
幹線車両が空気抵抗に逆らって時速500kmで走るための電力はどうやってまかなうのか?
こういった問題に対してはっきりとした説明がなければ私もリニア新幹線には反対だ。
こちらの写真は2022年5月に長野県飯田市内で行なわれたリニア新幹線反対デモ。(『中日新聞』Web版より引用)