おしんラーメン | Kura-Kura Pagong

Kura-Kura Pagong

"kura-kura"はインドネシア語で亀のことを言います。
"pagong"はタガログ語(フィルピンの公用語)で、やはり亀のことを言います。

 盛岡で麺類といえばじゃじゃ麺、冷麺にわんこそばだが私には他にも印象に残っている麺類がある。それはおしんラーメンだ。

 

 1990年代の後半のことだった。観光ではなく用向きで盛岡に行って、昼食をとろうと飲食店に入った。安く食事できる店だったが、壁に掲げてあるメニューに他の料理より極端に安いものがあった。それがおしんラーメンだった。

 

 おしん、それは1980年代日本の国内外で大人気を博したテレビドラマの主人公の名前だった。日本の近現代史を描いたこのドラマでも、少女期のおしんが苦難の勤め奉公をする序盤は大いに話題となった。このラーメンの名はそのおしんから取ったのか?どんな料理なのか店員に聞いてみた。

「何ものっていないラーメンです。」

何ものっていないだと?空の丼しか出ててこないのか?それじゃドリフのコントだ…。気になってそのおしんラーメンを注文した。

 

 出てきたのはしょうゆ仕立てのつゆに麺、そして刻みネギが少々。確かにそれ以外は何ものっていなかった。チャーシューも、メンマも。

 ラーメンを食べられる人はあのときのおしんに比べたら遥かに恵まれている。だが、限られた小遣いで手っ取り早く腹を満たしたい者もいるのだ。この店は岩手大学や盛岡一高の近く。体力気力の有り余る若人のためにこの店は営業していた。