※当記事は(その1)、(その2)、(その3)、(その4)、(その5)、(その6)、(その7)、(その8)、(その9)、(その10)、(その11)、(その12)、(その13)、(その14)、(その15)からの続き
11.ささいなことで怒らない方法
「10.許すということ」では、他人を許せるようになる手段として、自分の価値を上げることを記載した。
しかし、これは一朝一夕に達成できるものではなく、長期的な努力が必要となる。
本章では、もっと即効性のある手段、特に、「ささいなことで怒らないこと」を目的とした手段について記載し、当シリーズの締めくくりとしたい。
(1).調心法
基本的には、普段から心を調えて心を落ち着けておき、「怒り」等のマイナス感情が生じないようにするのがベストである。
そして、その上で「怒り」等が生じてしまった時は、その都度、解消するよう努める。
その手法である「調心法」については、以下の記事に記載したので、詳細はそちらを参照して欲しい。
○記事「調心法(仮バージョン)(その1) 1.「調心法」概略 」 ~(その2)
本章では、上記記事で記載していない事項について記述して行く。
(2).自己暗示
誰でもやったことがあると思うが、自らの「怒り」を静めるのには自己暗示という方法があり、具体的には次のパターンのものがある。
①.怒ることの無益さ・無意味さを自分に言い聞かせる
基本的には、怒っても何も解決しないどころか相手の反発を招き、さらに事態を悪化させることが多い。
よって、次のように考え(※実際に言葉に出しても良い)、自分に言い聞かせる。
・怒っても何も解決しない
・怒れば、冷静さを欠く分、問題解決から遠のく
・イライラするだけ、エネルギーの無駄
・怒るのは、自分をコントールできていない証拠
・こんな程度で起こるのは人間が小さい
また、上記は「怒る」こと自体の無益さ・無意味さであるが、次のように、怒っている相手を下げる方法もある。
・相手は怒る価値もない人間だ
・あんなヤツに怒りの感情を向けてイライラしているなんて、時間の無駄
・あんなことを平気でできるあの人は、むしろ、かわいそう
②.相手にプラスの感情移入をする
「(その4) 4.許しの感情移入」で記載したように、対象にプラスの「感情移入」をすれば、その分、対象に感じる「罪の重さ」も小さくなる。
つまり、プラスの「感情移入」をするよう努めれば、その分、「怒り」も小さくすることが可能である。
具体的には、次のように考え、自分も相手と大して変わらない、もしくは、相手以上に罪深い人間であることを認識するよう努めることになる。
・自分も同じ過ち、もしくは同じような過ちをを犯したことがある
・自分はもっと大きな過ちを犯したことがある
・これぐらいの誤りは、誰にでもある
「結局、自分も相手と同じ」ということで、対象にプラスの「感情移入」をするわけである。
また、他人に怒っている場合は、相手の悪い部分のみを見ようとするので、逆に「相手の良い点を思い浮かべる」というのも一つの手である。
さらに、「相手をよく知る」というのも、プラスの「感情移入」をする上で有効である場合がある。
もし、相手が不幸な生い立ちや身の上であるなら、同情(プラスの感情移入)して多少のことは許せるようになるだろう。
なお、当シリーズでは一番最初に、聖書の次の言葉を引用した。
互いに親切にし、憐みの心で接し、神がキリストによってあなたがたを赦してくださったように、赦し合いなさい。 (『エフェソの使徒への手紙』 4章32節)
あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されているのですから、憐みの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身につけなさい。互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたも同じようにしなさい。 (『コロサイの使徒への手紙』 3章12-13節)
簡単に言えば、「あなたも主に許してもらったんだから、それを見習い、他人に怒ったり、責めたりしないで許しなさい」という意味である。
そして、この意味をさらに分析すれば、次の三つになるであろう。
①.主の行いを見習い、同じようにしなさい。
②.あなたが受けた施しを、他にも分け与えなさい
③.あなただって過ちや罪を犯してる。よって、相手と同じ
①、②は、キリスト教信者、もしくは、「信者ではなくても、教えには共感している者」でなければ、意味のないものである。
そもそも、「イエスが磔にされて死刑にされたからって、他の人全ての罪が許されるワケねーじゃん」などと思っていれば、全く心には響かないからである。
ただ、全くキリスト教を信じていないのではなく、多少なりとも教えには共感しているのなら、上記の聖書の言葉を使って「怒り」を小さくすることは可能であろう。
そして、③は、プラスの「感情移入」を促すものであると言っていいだろう。
以上、自己暗示の言葉を記載して来たが、おそらくはそれで、すんなり「怒り」が治まることはないだろう。
ただ、何度もこれらの言葉を繰り返すことにより、解消の助けとなるはずである。
※(その17)へ続く。