ピアニストのTさんからの紹介で拝見した

ピアニストNさんのC7


以前の担当調律師はご高齢の方でお亡くなりになられました

私も業界としては面識ある方です

某コンサートホールを担当されており

Nさんの幼少の頃からの知人なんだそうです。


弦やハンマー、鍵盤、響板、金属類を拝見すると、オーバーホール向け状態というコンディション

苦心の延命調律をされていたようです


下の動画のようにヤマハの拍子木は前後にロスがあります

たいがい0.3㎜以上はあるのですが、

整音前に必ず私はこのロスを無くします。

と言うのが、シフトペダルをひと踏みするだけで、

アクションがロス分手前に移動し、ハンマー打弦点が変わり

音色にバラツキが出てしまうからです。


もし、このロス状態のまま整音するなら、

アクション入れて音色を確認する時、毎回拍子木をセットし、シフトペダルを1,2つ踏みこんで、音色を検査しなければないません。


これはよくあるのですが、

最高音は音階になっていませんショボーン

ドレミファソラシ…シ❓

難しい音域ですが、高齢になると聞き取りにくくなるのでしょうかね


ピアノの高音はインハーモニーシティの影響で、せり上がる傾向があり、このくらいが自然体に聞こえます


30年もの間、同じ調律師が担当していると、そのピアノはその調律師の音になります。


そう言う意味ではとても興味深く、作業の妥協点、落とし所が参考になります。


今回、私の作業では

整調80%、調律100%、整音100%やり直しました。

これは全く別モノのピアノに変身です。

作業に6時間かかりましたが、Nさんに弾いて頂いたところ

音色のフィーリングから、モーツァルトを弾かれています。

華やかなスケールは珠が転がるような美しさ

納得の笑顔で、ずーっと弾かれておられました。


是非また次もお願い致しますね

こちらに来られる時は声をかけてください


との事でした。


ありがたい評価を頂き、素直に喜びましたが

どこか虚しいというか、残念というか

調律師業界の先行きを考えさせられたのでした


高齢になると身体的な問題も出てくるし

何より若手が育ちにくい…