さてさて、久しぶりのピアノ、ツィンマーマン
調律は7年ぶりのご依頼でした。

元々はドイツ、東側のピアノメーカーです

今、思えば共産国時代、東ドイツに位置するピアノメーカーは不遇の時代でした。

特に世界に向けてブランド力の乏しいメーカーは販売網が手薄で、資本主義社会に移り変わる統一後も、経営はすんなりといくはずもなく、品質も悪くて当時一般的にチンメルマンと呼んでました。

なにかしら共産国トーンでした。

しかしながらベヒシュタインが1992年にブランドを買収し、第2ブランドとして確立した時は、ベヒシュタイン廉価ピアノとして、素晴らしく生まれ変わり驚いたものです。

このピアノもベヒシュタインの小型UPによく似ています。
音質、タッチ共に、均一に調整しやすく
とてもクリアで透き通るよう音色になります。

第2ブランドはスタインウェイが世界戦略として安価なピアノ、ボストンを世に送り出した事への対応と同時に、ヤマハ、カワイとの価格に対応するとも言えますかね




思いっきり、ベヒシュタインの文字😅
DNAは現代ベヒシュタインそのものですけどね





小型ながらよく鳴る響板は、やはりドイツ伝統のこの設計、
低音上部、高音下部をカットしています
よりフレキシブルな振動になる構造ですね
日本の昔のピアノもこの方式が多かったです





なんと高級志向なダブルキャスター

外装関係はMDFで造られており、鍵盤蓋も重たくて、閉める時怪我しないようスローダウンが後付けで二機取付てあります。



製造番号をチェック


しかしながら、2011年から現在、中国のハイルーンピアノで製造されています。


ベヒシュタインは第2ブランドの座をツィンマーマンからホフマンに変更したのでした。

ベヒシュタインヨーロッパで造られるホフマンは素晴らしいと思いますが、フられたツィンマーマンはちょっと可哀想かな。

そのハイルーン社は、ホフマンの安価モデル、ヴィジョンシリーズを製造しているようです。

また、名器ホイリッヒ(旧東ドイツ)も製造しており、ドイツと中国メーカーとの結びつきは強く、ブランドは生き残っているわけですが、品質はどうかなあ、と言ったところ。

その音から弦設計はハイルーンと思います。

旧東ドイツのピアノメーカーで世界的有名なブリュートナーは存続しており、そのグループのレーニッシュも現存している模様です。
昔、松尾楽器が輸入していたフップフェルトはレーニッシュが製造しているとか。

旧東ドイツのピアノメーカー勢
その伝統もなんとか生き残って欲しいですね。