本日のテーマ
【苦しみの体験は精神の免疫になる】
同じ状況に置かれても、人によって感じ方は違います。
よく、こんなたとえがあります。
コップに半分の水が入っている。
それを見て、
「半分しか入っていない」
と思う人もいれば、
「まだ半分も入っている」
と思う人もいます。
同じものを見ているのに、受け止め方は違います。
この違いには、その人がこれまでにどのような経験をしてきたかも関係しているのではないでしょうか。
その一つに、「苦しみの体験」があると思います。
たとえば、砂漠をさまよい、強い日差しの中で何日も水を飲めず、本当に苦しい思いをした人がいたとします。
一方で、生まれてからずっと水に恵まれ、水がなくて苦しんだ経験のない人がいたとします。
この二人が、のどが渇いている時に、コップ半分の水を目の前にしたら、どう感じるでしょうか。
水のない苦しさを知っている人は、
「ありがたい。大切に飲もう」
と思うかもしれません。
一方、水があることを当たり前だと思ってきた人は、
「これだけしかないのか。足りない」
と思うかもしれません。
同じ「コップ半分の水」でも、過去の経験によって、その価値はまったく違って見えるのです。
苦しい経験をしたからといって、誰もが必ず強くなるわけではありません。
しかし、その経験と向き合い、そこから何かを学ぶことができれば、
我慢する力。
乗り越える力。
人の痛みを理解する力。
そして、今あるものに感謝する心。
そうしたものが少しずつ育っていくことがあります。
米国の詩人ホイットマンの言葉として、こんな言葉が紹介されています。
「寒さにふるえた者ほど太陽を温かく感じる。
人生の悩みをくぐった者ほど生命の尊さを知る。」
苦しみを知っているからこそ、今ある幸せに気づくことができる。
失った経験があるからこそ、持っているものの大切さが分かる。
乗り越えた経験があるからこそ、
「また何かあっても、きっと乗り越えられる」
と思えることもあります。
昔から、
「若い時の苦労は買ってでもせよ」
と言われてきました。
これは、苦しむことそのものに価値があるという意味ではないと思います。
苦労を通して学び、考え、乗り越えた経験が、その後の人生で自分を支える力になる、ということなのでしょう。
一度乗り越えた経験は、次に困難が訪れた時の心の備えになります。
そう考えると、
苦しみを乗り越えた経験は、心に「精神の免疫」をつくってくれるのかもしれません。
苦しみをただ苦しみで終わらせず、そこから何を得るか。
それによって、その経験は、これからの人生を支える力に変わっていくのだと思います。