本日のテーマ

【嘘の戒め】

 

 

親は子どもに、

「嘘をついてはいけません」

と教えます。

 

もちろん、嘘をつくことはよくないことです。

しかし、もし子どもから、

「じゃあ、お父さんやお母さんは、今まで一度も嘘をついたことがないの?」

と聞かれたら、少し困ってしまう人もいるかもしれません。

人は誰でも、これまでの人生の中で、大小さまざまな嘘をついたことがあるのではないでしょうか。

 

だからこそ、

「嘘をついてはいけない」

という言葉は、嘘を平気でつく人間にならないための「戒め」なのかもしれません。

 

嘘をつくことは、相手を傷つけたり、信用を失ったりするだけではありません。

自分自身にも、思わぬ影響を与えることがあります。

 

アイルランド出身の劇作家、バーナード・ショウは、こんな言葉を残しています。

「嘘つきの受ける罰は、人が信じてくれないということだけではなく、ほかの誰をも信じられなくなる、ということである」

 

とても考えさせられる言葉です。

 

たとえば、監督する人がいない時には怠け、見られている時だけ一生懸命働いているふりをする人がいたとします。

その人が、ある日、人を監督する立場になったらどうでしょう。

自分がそうしていたからこそ、

「自分が見ていないところでは、部下もきっと怠けているに違いない」

と思ってしまうかもしれません。

 

人は、物事を判断する時、自分自身の経験や考え方を一つの物差しにしてしまうことがあります。

「自分がそうだから、相手もきっとそうだろう」

と考えてしまうのです。

 

もし自分が平気で嘘をつく人なら、

「相手も何か嘘をついているのではないか」

と疑いやすくなるかもしれません。

 

つまり、嘘は相手からの信用を失わせるだけでなく、自分自身が人を信じる力まで失わせてしまうことがあるのです。

 

もちろん、人間が一生、どんな小さな嘘もつかずに生きることは、簡単なことではないのかもしれません。

だからこそ大切なのは、

「嘘をついたら、相手にどう影響するだろう」

ということだけでなく、

「その嘘は、自分自身をどんな人間にしていくだろう」

と考えることではないでしょうか。

 

一つの嘘が、また次の嘘を生むこともあります。

そして、嘘を重ねれば重ねるほど、人との信頼関係だけでなく、自分自身の心まで落ち着かなくなっていきます。

「嘘をついてはいけない」という言葉は、単に人に迷惑をかけないためだけの教えではありません。

 

自分自身の心と信用を守るための戒めでもある。

 

そう考えると、この言葉の重みが、少し違って見えてくるのではないでしょうか。

嘘が自分にどのように返ってくるのかを考えながら、できるだけ正直に生きていきたいものです。

 

参考文献:『座右の銘』本の泉社