本日のテーマ

【逆から見ると…】

 

 

人は、ともすると、自分の立場や考え方を基準にして物事を見てしまうことがあります。

悪気はなくても、相手の気持ちや事情を十分に考えないまま、自分の考えを優先してしまうこともあるでしょう。

 

そんな時には、少し見方を変えてみることが大切です。

人間関係がぎくしゃくした時。

何かの壁にぶつかって悩んでいる時。

そんな時に、自分とは逆の立場から考えてみると、思いがけない気づきや解決のヒントが見つかることがあります。

 

以前、雑誌の編集をしていた時に、『いま感謝する――人から聞かされた言葉』という特集を組んだことがあります。

その中で、特に印象に残ったのが、K子さんから寄せられた祖母の教えでした。

 

K子さんは、幼い頃、わがままを言うと、祖母からよく、

「お膳の向き、変えてごらん」

と言われたそうです。

最初は、何のことか分からなかったといいます。

しかし、目の前のお膳の向きを変えてみると、それまで見えていた食器や料理が、まったく違った姿に見えます。

祖母が伝えたかったのは、

「自分の側からだけ物事を見てはいけない。相手の側に立って考えてみなさい」

ということでした。

そうして見方を変えてみると、自分自身の至らなさに気づいたり、

「これはお互いさまなのだ」

と思えることもある。

 

 

 

そんな教えだったそうです。

素晴らしい言葉ですね。

 

物事は、見る方向が変わるだけで、まったく違って見えることがあります。

たとえば、日本地図を上下逆さまにして見てみる。

すると、いつも見慣れている日本列島が、まるで違った形に見えてきます。

沖縄が上になり、北海道が下になる。

 

ただ向きを変えただけなのに、印象は大きく変わります。

また、日本では、一般的に北へ行くほど寒くなり、南向きの家は日当たりが良いとされています。

しかし、赤道を越えて南半球へ行けば、事情は逆になります。

南へ行くほど寒くなる地域が多く、日当たりを考える時も、北向きが有利になる場合があります。

 

つまり、私たちが「当たり前」だと思っていることも、場所や立場が変われば、当たり前ではなくなるのです。

人間関係も同じかもしれません。

「自分は間違っていない」

と思っていても、相手の立場から見れば、まったく違って見えていることがあります。

そんな時は、

「相手から見ると、どう見えているのだろう」

と考えてみる。

それだけでも、今まで見えなかったものが見えてくることがあります。

 

見方を変えると、考え方が変わる。
考え方が変わると、気づきが生まれる。

 

自分の見方だけにとらわれず、時には「お膳の向き」を変えるように、物事を逆から見てみる。

そこに、新しい発見や答えが隠れているのかもしれません。