本日のテーマ
【夫婦間のお互いの立場】
「塵も積もれば山となる」ということわざがあります。
ごくわずかなものでも、積み重なれば大きなものになる、という意味です。
これは、よいことだけではありません。
日々の小さな不満や、ささいな行き違いも、それが長く積み重なれば、やがて大きな問題になってしまうことがあります。
特に夫婦のように、長い時間をともに過ごす関係では、その積み重ねが大切なのではないでしょうか。
レオ・バスカリア博士の著書『愛するということ 愛されるということ』の中に、相手の立場に立つことの大切さと、小さな不満の積み重ねが人間関係に与える影響について書かれています。
人間関係が壊れる原因は、必ずしも大きな出来事だけではありません。
むしろ、
「話をしている途中で、いつも口をはさまれる」
「片づけても、すぐに散らかされてしまう」
「何を決めるにも、自分では決めようとしない」
「何でも自分の思いどおりにしようとする」
といった、一つひとつを取り上げれば、それほど大きな問題とは思えないようなことが、長い年月の中で積み重なっていくことがあります。
そして、それが知らず知らずのうちに心の中に不満や苛立ちとなって残り、いつしか夫婦の関係そのものを壊してしまうこともあるというのです。
しかし、こうした問題の多くは、お互いが正直に向き合い、自分自身の態度や言動を見直し、変えようと努力することで改善できるとも述べられています。
読んでいると、なんだかドキッとさせられる内容です。
私たちは、ともすると相手の欠点ばかりが目につきます。
「どうして分かってくれないのか」
「なぜ、いつも同じことをするのか」
「もう少し自分のことを考えてくれてもいいのに」
そう思ってしまうこともあるでしょう。
しかし、そこで一度立ち止まり、
「自分は相手の立場を考えているだろうか」
「自分の言葉や態度で、相手を傷つけてはいないだろうか」
「自分にも直すべきところはないだろうか」
と考えてみることも必要です。
夫婦は、近い存在だからこそ、つい甘えが出てしまいます。
「これくらい分かってくれるだろう」
「今さら言わなくてもいいだろう」
「夫婦なのだから当然だろう」
そうした気持ちが、いつの間にか相手への配慮を失わせてしまうことがあります。
夫婦であっても、相手は自分とは違う一人の人間です。
考え方も、感じ方も、価値観も違います。
だからこそ、自分の立場だけで考えるのではなく、ときには相手の側から物事を見てみることが大切なのだと思います。
小さな「ありがとう」。
小さな「ごめんなさい」。
相手の話をきちんと聞くこと。
気づいたことを自分から行うこと。
そんな何気ない行動も、積み重なれば、夫婦の信頼を深める大きな力になります。
反対に、小さな不満や無関心も、積み重なれば大きな溝になってしまいます。
「塵も積もれば山となる」。
だからこそ、夫婦の関係も、日々の小さな積み重ねを大切にしたいものです。
相手に変わることを求める前に、まず自分自身の態度や言葉を振り返ってみる。
そして、お互いの立場を思いやり、気づいたことから少しずつ変えていく。
それが、長くよい夫婦関係を築いていくために大切なことではないでしょうか。
モンテーニュの言葉――
「不幸は大半が、人生に対する誤った解釈のしるしである。」