本日のテーマ
【忍耐の大切さ】
歴史上の人物の生き方を比べ、その違いから、私たちが生きるうえでの教訓を学ぶことがあります。
岬龍一郎氏の著書『「仕事」論』では、戦国の世を生き抜き、江戸幕府の基礎を築いた徳川家康の「忍耐」に着目し、織田信長や豊臣秀吉との違いについて述べています。
そこでは、信長と秀吉は天才的な力を持っていた一方、家康は、自分が天才ではないことを知っていたからこそ、努力、忍耐、協調性を大切にし、部下を大事にしたとされています。
三人の性格の違いを表したものとして、よく知られているのが、次のホトトギスのたとえです。
「鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス」 信長
「鳴かぬなら、鳴かせてみようホトトギス」 秀吉
「鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギス」 家康
信長は決断が早く、激しい行動力を持つ人物。
秀吉は、知恵を働かせ、さまざまな工夫によって道を切り開く人物。
そして家康は、周囲との調整を図りながら、機が熟すまで辛抱強く待つ人物として表されています。
家康は、信長や秀吉の生き方を間近で見ながら、その長所だけでなく、失敗や弱点からも学んだといわれています。
秀吉や諸大名が、刀や茶器、書画などの珍しい品を自慢していたときも、家康はその輪に加わらず、自分は田舎者で、質素倹約を大切にしているため、珍しい品は持っていないと答えたという話があります。
また、健康を大切にし、麦飯を食べ、薬草について自ら学び、体調管理にも努めたといわれています。
家康が大切にしたのは、
質素倹約、
質実剛健、
深慮遠謀、
そして忍耐でした。
目先の欲に心を奪われず、健康を守り、先の先まで考えながら、自分の力を蓄える。
そして、時が来るまで焦らず、やるべきことを続ける。
そのような生き方を貫いたことが、家康が最後に天下を治め、長く続く平和な時代の基礎を築くことにつながったのでしょう。
忍耐というと、つらいことをじっと我慢することだと思われがちです。
しかし、本当の忍耐とは、何もせずに耐えることではありません。
目的を見失わず、今できる努力を続けながら、結果が出るまで待つことです。
感情に任せて判断せず、状況を見極めること。
すぐに成果が出なくても、諦めずに積み重ねること。
人との関係を大切にしながら、時には自分を抑え、全体にとってよい道を考えること。
それもまた、忍耐なのだと思います。
変化が激しく、すぐに結果を求められる現代だからこそ、私たちは家康の生き方から学ぶことがあるのではないでしょうか。
焦って行動する前に、もう一度考える。
思いどおりにならないときにも、感情に流されない。
目の前のことに一喜一憂せず、遠い先を見ながら努力を続ける。
忍耐は、自分の可能性を信じ、未来を諦めないための力でもあります。
徳川家康の言葉として伝えられているものに、次の言葉があります。
「人の一生は、重き荷を負うて、遠き道を行くがごとし。急ぐべからず」
人生は、重い荷物を背負い、遠い道を歩いていくようなものです。
急ぎすぎず、焦らず、一歩ずつ進んでいく。
その積み重ねが、やがて大きな成果へとつながっていくのではないでしょうか。
