本日のテーマ
【ユイマール(協力し合う)】
私たちは、便利で自由な時代に生きています。
けれどその一方で、人とのつながりが薄れ、助け合う機会が減ってきたようにも感じます。
困ったときに気軽に頼れない。
誰かが困っていても、どう関わればよいか分からない。
そんな空気が広がっている今だからこそ、改めて見直したいものがあります。
それが、沖縄に残る「ユイマール」の精神です。
今日は、この協力し合って生きる知恵が、なぜ今の時代にこそ大切なのかを考えてみたいと思います。
人間は太古の昔から、共同で生活をしてきました。
なぜなら、一人の力には限界があるからです。
それぞれが持つ力や役割を活かし合い、助け合うことで、安心して生きていく仕組みをつくってきたのです。
かつての日本には、「隣組」「近所付き合い」「地域のつながり」といった、自然に協力し合う風習がありました。
困ったときは助け、助けられたら今度は自分が支える。
そんな関係が、日々の暮らしの中に息づいていました。
しかし現代では、そうした風習は地方にはいくらか残っているものの、都市部ではほとんど見られなくなってしまいました。
便利さが増した一方で、人と人とが支え合う機会は少なくなり、「自分のことは自分で」という空気が強くなったように思います。
沖縄には今でも、「ユイマール」と呼ばれる助け合いの風習が残されています。
ユイマールとは、
ユイ(結い・協働)+マール(順番)
という意味で、順番に協力し合いながら共同作業を行うことをいいます。
戦後には、住む家を建てることや、農家の畑仕事などを、地域の人たちが力を合わせて行っていました。
そして近代では、こうした助け合いの意味が、暮らしや仕事のさまざまな場面にも広がって使われるようになったそうです。
日本には昔から、
「困っているときはお互い様」
という、すばらしい言葉があります。
この言葉には、人は一人では生きていけない存在であり、だからこそ支え合うことが大切なのだという知恵が込められています。
本来、人は誰かの力を必要とし、また誰かの力になれる存在でもあります。
しかし今、その「お互い様」の心が、少しずつ薄れてしまっているのではないでしょうか。
その背景には、個人主義や自己中心的な価値観の広がりもあるのかもしれません。
自分のことで精一杯になればなるほど、人に頼ることも、人を助けることも、難しくなってしまいます。
だからこそ、今あらためて必要なのが、このユイマールの精神です。
気軽に頼み、気軽に協力できる社会。
困っている人に自然に手を差し伸べられる社会。
そのような社会こそ、人が明るく生き、互いの力を活かし合える社会ではないでしょうか。
昔から受け継がれてきた良い風習や習慣には、長い時間をかけて育まれた知恵があります。
それは単なる昔のやり方ではなく、人が人らしく生きるための大切な土台です。
だからこそ、そうした良いものを大切に守り、次の世代へと受け継いでいきたいものです。
人に協力することは、目に見えないところに徳という種をまくことなのだと思います。
その種は、すぐに結果として見えないかもしれません。
けれど、やがて信頼となり、安心となり、温かなつながりとなって、自分や社会を支えてくれるのではないでしょうか。
成功哲学者のD・カーネギーは、こんな言葉を残しています。
「幸福になりたければ、やれ恩を返せだの、恩知らずだのと言わないで、人につくす喜びだけを生きがいにしようではないか。」
人に尽くすこと。
協力し合うこと。
支え合って生きること。
そこにこそ、人が本当に豊かに生きるための大切な答えがあるのかもしれません。