本日のテーマ

【感動したある喪主のあいさつ】

 

 

数年前のある葬儀でのことです。

ある50代の男性が喪主のあいさつをしたときに、

「こんな捉え方ができるなんて、なんて素敵な人なんだろう…」

と感動しました。

 

80代の父親の葬儀でした。

父親はある日突然倒れ、救急車で病院に搬送されました。

その後、命はとりとめたものの、意識はなく、何の反応もしてくれなくなり、植物人間になってしまいました。

家族は、毎日のように病院に見舞いに行きました。

何の反応もしない父に向かい、話しかけ続けました。

なんとこの繰り返しが2年間にも及び、その後父親は静かに逝きました。

 

 

長男の喪主のあいさつです。

 

 

「父は2年間意識もなく入院生活の末に他界しました。普通ならば2年という歳月は家族にとってどれだけ長く大変なことであったかと思われるかもしれません。私も一体いつまでこんな状態が続くのかと思ったこともありました。しかし、父は2年間も私たち家族のために頑張ってくれたのです。これが父の優しさであることが、今はハッキリと分かります。もし2年前、病院に救急搬送された時に亡くなっていたとしたらどうだっただろうか? いきなりの死で、私たちは驚きと深い悲しみに襲われていたことでしょう。父はそうならないよう私たちに時間をかけ、別れの覚悟をする時間を与えてくれ、悲しみを軽減させてくれたのです。これが父の最後の優しさだったのです。最後の最後まで家族を想ってくれた立派な父親でした……」

 

 

普通なら2年もの間意識がなく入院していたら、家族の負担はあまりにも大きく、早く逝ってほしいと思うのが当然かもしれません。

間違いなく誰の目にもお父さんは意識がなく見えたかもしれませんが、喪主の息子さんが言われるように最期の最後まで家族を愛し続けて頑張ったことが伝わってきました。

この喪主のあいさつをお聞きになっていた参列者の皆さんは目頭をおさえ、何かを感じられていたようでした。

 

この日、わたしが学んだことは、捉え方で、まったく異なった世界がつくられるということでした。

 

 マイナスに捉えれば、負の世界が…

 プラスに捉えれば、活かせる世界が…