本日のテーマ
【思いっきり泣くと心がスッキリして楽になる】
「思いっきり泣いたことはありますか?」
思いっきり泣いた後は、
なぜあんなにも気持ちが楽になるのでしょう……。
生きている間にどれほどの涙を流すのか?
ある統計では、一生のうちに流す涙は、60~70ℓほどにもなり、2ℓのペットボトルでいえば30~35本になるそうです。
涙はさまざまです。
自然と流れる涙…
流したい涙…
流したくない涙…
専門家によると、涙には三つの種類があるといいます。
一、目が乾くのを防ぐ「基礎分泌の涙」。
二、目に入った異物を流し出す「反射の涙」。
三、悲しいときや感動したときに出る「情動の涙」。
三の「情動」とは、
笑ったり泣いたりする心の動きのことです。
わたしの場合、「情動」の涙をたくさん流してきました。
情動的な涙もさまざまです。
あまり流したくない涙に、
苦しみの涙…
悔し涙…
悲しみの涙…
たくさん流したい涙に、
嬉し涙…
感動の涙
同情の涙…
なんだか一つひとつの涙で自分が成長してきた気がします。
ユダヤのことわざに、
「泣くと心が軽くなる」
があります。
わたしも同じ経験をしました。
泣いた後は、驚くほどスッキリして、物事を冷静に考え捉えることができるようになります。
不思議ですね。
じつは、こんな見解があるのです。
アメリカのレイ教授の著書『涙――人はなぜ泣くのか』では、ミネソタ大学の学生・職員286名を対象に数々のアンケート調査を行いました。
年齢は18才から75才までで平均年齢は35才。この調査では、泣いたあとの気分の数値は、「気分がよくなる、さっぱりした」と答えた人は、男性は37%、女性は85%でした。
この調査の「気分がよくなる」と答えた人たちの涙の理由が次の通りです。
・涙は不快な感情を洗い流すようだ
・重荷が軽くなったような気がする
・たくさん泣いた後には、気分がさっぱりし、ものごとを達成する力を獲得できる
・現実が以前よりはっきりと楽に見えるようになった
・大いに泣いた後では、この状況でなんとか頑張ろうという意識がもりもりわいてきた
・泣いた後では気分がよくなる。それは自分の気持ちを他人に理解してもらい、事情を打ち明けることができたからだ
などの回答が紹介されています。
わたしは、よく人からの相談を受けますが、その本人が心の中に抱え込んでいるものを出すために思いっきり泣くことをすすめています。
それは、抱え込んでいる心の底の感情を出すためです。
溜まった感情は知らず知らずのうちに、うっぷんを溜めたり、心にブレーキをかけしまい、我慢したり、諦めたり、視野を狭くしてしまいます。
泣いた後は、驚くほどスッキリとして、物事を冷静に考え捉えることができるようになります。
なぜなのか不思議なのですが、こんな見解があります。
東邦大学医学部の有田秀穂教授は、「涙を我慢すればするほど、ストレスがため込まれる。なるべく激しく泣くほうがいい」と述べています。
涙はストレスと関係している、落涙は、緊張や興奮を促す交感神経から、落ち着きを促す副交感神経へと切り替わることによって起こる、つまり、涙はそれ以上ストレスを積み重ねる必要がなく、リラックス状態に入ったという信号である、というのです。
また、涙は病気の防衛になるそうです。
日本医大の吉野槇一名誉教授は、泣くことは笑いと同じ効果があることを次の実験で実証しています。
リウマチの重症患者、軽症患者、健康な人の3グループに落語の人情話を聞かせて涙を成させた後、免疫機能の変化を調べたところ、重症患者はストレスホルモンであるコルチゾールの値と、リウマチの悪化させるインターロイキンー6の値が低下し、ナチュラルキラーT細胞が活性化されていることが分かった。吉野教授は「人間の身体は神経系、内分泌系、免疫系の3つをバランスよく保つことによって病気を防衛している。それを正常に保つのが涙の効用です」
わたしは、思いっきり泣ける人は幸せな人だと思います。
“心の切り替え”ができるからです。
思いっきり泣くことはなかなかできないことですが、
心の中がモヤモヤしている…
どうしでも自分の感情を自分で抑えてしまう…
日頃から我慢していることがある…
そんな感情を心の底に溜めている人は、思いっきり泣くことで、その感情を吐き出すための良い方法になるでしょう。
機会があれば、思いっきり泣いてみてはいかがでしょう。
その後、心がスッキリして人生が変わったと思える体験が得られるかもしれません。
参考文献:『涙の治癒力』柏瀬宏隆著(リヨン社)