本日のテーマ 

【時間の前借りをしない】

 

 

昔の貧しい時代は、よく辛抱とか我慢をすることがあったものです。

欲しいものがあっても、

 お金がない…

 ものが不足している…

だから辛抱と我慢がつきものでした。

 

しかし現在はどうでしょう。

辛抱とか我慢がなくなり、今欲しいものは直ぐに手に入れる、そんなことが当たり前になってきました。

お金がなくても、

 カードのローンで買い物をする…

 キャッシングをしてお金を借りて買い物をする…

というように辛抱や我慢が無縁の時代になってしまいました。

 

しかし、わたしは疑問に思うのです。

辛抱や我慢をせず、欲しいものを直ぐに手に入れることが本当の意味で得になるのか……。

 

 

本日のテーマは『時間の前借り』ですが、

「時間を前借りするなんてできるの?」

と思われる人もいるでしょう。

じつは、「時間の前借り」とは好ましくないことで損をするという意味で、カードローンや借金のことを「時間の前借り」というのです。

 

二宮尊徳は「時間の前借り」が人を貧窮にすると説いています。

では、具体的にどのようなことを言うのでしょうか。

 

二宮尊徳は言います。

――貧者は昨日のために今日をつとめる――

「貧者は昨日のために今日をつとめ。昨年のために、今年をつとめる。それゆえ終身苦しんで、そのかいがない。富者は明日のために今日をつとめ、来年のために今年をつとめるから、安楽自在ですることなすことみな成就する。それを世間の人は、今日飲む酒がないときには借りて飲む。今日食う米がなければまた借りて食う。これが貧窮に陥る原因なのだ」

 

お金がないのに酒が飲みたくて、我慢できず人から借りて飲む。すると次の日は、昨日のお酒を返すために働かくことになり、“未来の時間を前借りする”ことになってしまうのです。

 

いかがでしょうか。

わたしはこの教えを知った時、目からウロコが落ちました。

「なるほど、こういうことだったのか!」

時間の使い方が明確になった瞬間でした。

 今日のために明日を使うか…

 明日のために今日を使うか…

 

欲しいものを我慢すれば未来のためになるということを二宮尊徳はこう説いています。

 

「ここに一粒の米がある。これを食ってしまえばただの一粒だが、もし推(お)し譲ってこれを蒔き、秋に稔を待ってから食えば、百粒食ってもまだ余りがある。これこそ万世変わらぬ人道なのだ」

 

 

 

今できない事を無理してやろうとすると何かを負担することになるでしょう。

人生は時として辛抱や我慢が必要であり、それが未来のためになることがあります。

人間を磨くにはこの辛抱や我慢が必要です。

 

大切な人生です。

未来を大切に有効に使うために、時間の前借りをしない知恵と意志をしっかりと持ちたいものです。