本日のテーマ
【努力の手本】
人生にはいくつもの壁がありますが、壁が高ければ高いほど乗り越えることが困難になります。
そんな時は普通の考えでは太刀打ちできず、突拍子もない発想で乗り越えることも必要になります。
誰も考えない、誰も思いつかない、そんな発想です。
人間は知恵を絞れば何らかの打開策が見つかることもあります。
そんな可能性を教えてくれたのが、幕末の立役者であった勝海舟です。
勝海舟が若い頃に壁にぶつかった時、並々ならぬ努力をしました。
わたしは、人はこれほどまでに努力できるものかと思ったほどです。
それ以来、努力が必要な時に、努力の手本として心の支えにしてきました。
その勝海舟の努力については、国民学校の修身書(戦前の小学校の道徳の教科書)で紹介されています。
この話は勇気を与えてくれます。
どんな苦境に立たされていても、道があるということを教えてくれました。
命がけの努力――勝海舟(かつかいしゅう)
勝海舟という人がありました。まだ若いとき、オランダの学問を修め、海外の兵術を調べようと思いたちましたが、そのころ、外国の書物は少なくて、なかなか手に入れることができません。そのうえ、いちばんだいじな辞書などは、たとえ見つかっても、値段がずいぶん高く、一冊六十両もするほどでした。
貧しい暮らしをしていた海舟には、買いたくても、そんな大金を出すことができません。けれども、外国の書物をならいたての者にとって、辞書がないのは、ちょうど船に帆がないのと同じことです。海舟は、どうしても辞書がほしくてたまりませんでした。
とうとう思いあまって、毎晩遅くまで親類や知人のところをかけまわって、必要な金をととのえようとしました。すると、
「外国かぶれの者には、金を貸すことなんかできない」
といって、みんなたいへんな剣幕です。
そのころの人たちは、外国の学問はけがらわしいもの、とばかり思いこんでいたのですから、無理はありません。いくら説ききかせても、だめです。
海舟は金を借りることを、きっぱりあきらめてしまいました。
そうして、
「よし、辞書が買えなければ、辞書を借りて、写してやろう」
と、おおしい気持ちを奪い起こしました。
さっそく、知り合いの医師から、オランダの辞書を借りてきて、寝る間も惜しんで、写しはじめました。まる一年ぐらいも、かかりました。
ちょうど、海舟のお父さんは、病気をしていて、働くことができません。
その看病をしながら、一念こめて、海舟は写本の仕事を続けたのでした。冬が来ても、寒さをしのぐたきぎがありません。貧乏が海舟をほろぼすか、海舟が貧乏を打ち負かすか、一生懸命になって戦いつづけました。
写し終わった辞書の終わりには、海舟はこう書き残しています。
「秋のはじめに書きはじめて、次の年の秋のなかばまでかかった。このころ、貧しさは骨の底までしみこんで、冬の夜にも、寝るふとんがなく、また夏には、かやもなかった。来る夜来る夜も、ただ机に寄りかかって眠った」
実に骨をけずり、血をしぼるような思いで、書き写したのでした。
海舟は、写本の辞書を二冊も作って、一部は自分が使い、別の一部は人に売って、辞書を借りたお礼をしました。
意志の強い奮闘努力の人でなければ、まねのできないことであります。(略)
『修身の教科書』小池松次編 サンマーク出版より
普通の精神だったら諦めていたところでしょう。
この話に“本気の志と強い精神”を感じます。
「何のために何を成すか」
本気でかからなければ、突拍子もない発想も、努力の持続もできなかったことでしょう。
どんな状況下でも諦めたら可能性はゼロになってしまいます。
しかし、諦めなければ可能性はゼロにはなりません。
人生の壁を乗り越えるには、志と強い精神を持ち本気で臨まなければなりせん。
このこと肝に銘じ、たえず可能性を見つけたいと学ぶのでした。
