教科:【解釈の仕方】
――昨日(1)のつづきより
講演会の会場で、わたしは、肩を落としうつむいている女性を気にしつつ、話しながらタイミングを伺い、こう切り出しました。
「人生に様々な苦しみがありますが、その苦しみでも『苦しみを苦しみとして解釈する』のと『苦しみに意味があると解釈する』のではまったく逆な発想になります。結果から言って、どちらが自分のためになるでしょうか? わたしは後者を選びます!」
(その瞬間、うつむいていた顔が少し上がり、こちらを見ていました。わたしは話をつづけました)……。
「わたしの自著『幸せをつかめる人つかめない人』でも紹介させていただいた、オーストリアの神経科医であり精神科医のヴィクター・エミール・フランクルは『人生で起こる苦しみには意味』があると述べています。そして、こうも言っています。『愛する人を亡くすことにも意味がある!』」
(女性は、前のめりなるくらいの姿勢で聞き入っています!)
「ある高齢の医師が二年前に愛する妻を失い、孤独と喪失感に生きる意欲をなくし、抑鬱状態になり、診察に訪れました……」
「その患者にフランクルが尋ねました。『もしもあなたの方が先に亡くなっていたら、どうなったでしょう。つまり、奥様の方が残されていたとしたら?』『たぶん、妻は苦しんだに違いありません』『なら、おわかりでしょう。奥様は、その苦しみを免れることができたのです。その苦しみから奥様を救ったのは、あなたなのです……』老医師は、フランクルの手を握って静かに帰って行きました」
「わたしは、フランクルから『視点を変えることにより苦しみが意味になる』ことを学び、もし、愛する人が先に逝ったとしても、この解釈の仕方で覚悟するようにしたいと心に決めました。だって、もし逆だったら妻が苦しむことになるのです。それを解釈の仕方を変えれば、『愛する人を苦しみから救い、自分が代われる』というすばらしい愛情を捧げられることになるのです!」
(女性はハンカチで目頭をおさえながら深くうなずいていました……)
お手紙の中には、こんな一文が書かれていました。
「夫を亡くした友人は、勇気をいただき前向きに生きていく力をいただき感謝しています、とのことです」
参考文献:『フランクルに学ぶ 生きる意味を発見する30章』斉藤啓一著 日本教文社
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わたしは幸せとは何かを知りませんでした。
こんなことを言えば、
「えっ!そんな簡単のことも知らないのか!!」
と驚く人もいるかもしれません。
わたしは過去に幸せだったことがありました。
その幸せとは、自分の願いや望みが叶ったときに訪れました。
しかし、その幸せも気がつくといつの間にか幸せとは感じなくなっていたのです。
時間が経つと幸せが薄れてゆき、やがて幸せを感じなくなってしまい、過去の幸せだった思い出になってしまったのです。
幸せとはそんなものなのでしょうか……。
わたしは幸せとは何かがわからなくなってしまったのです。
そこで「自分が納得する幸せ」を探すために、幸せのヒントになる本を読みあさる、テレビや映画を観る、セミナ―や講演会に参加する、そして取材をしてきました。
しかし、誰もが幸せとはこのようなものだと言ったのです。
幸せとは、
欲求を満たすこと…
願いが叶うこと…
わたしはこの答えに説得力を感じませんでした。
それは自分がさんざん経験したことであり、また多くの人達への取材を通して思うことがあったからです。
そのほとんどの人は欲求が満たされ、願いが叶い幸せになるのですが、幸せが長く続かないのです。
こんなことが本当の幸せなら、幸せは長く続かず、次から次に幸せを求め続けなければならなくなり、一生安泰する幸せをつかむことができないことになります。
わたしは“本当の幸せ”とはもっと違うものではないかと感じていたのです。
そこで自分が納得する答えである“本当の幸せ”を探すことにしました。
そうして答え探しの旅に出ることになったのですが、気がつくとこの旅を終えるまでに30年の歳月が流れていました。
そしてようやくその答えに辿り着くことができたのです。
本書では『わたしが見つけた本当の幸せ』をご披露いたしましょう。
先日、ある人にこの本について尋ねられました。
「どんな本ですか? 一言で表してください」
わたしはこう答えました。
「今までに類のない“斬新な幸せ観”と出会える“幸せになるための必読書”です」と……。
NPO法人生きる意味研究所
理事長 倉部久義

