広辞苑の中にシナルリチョウという名前の鳥を見付ける事が出来ます。
シナルリチョウ……ごく当たり前そうな名前です。けれどこの鳥の名前は、広辞苑と岩波国語辞典の中以外で見る事が出来ない名前です。
広辞苑中にも「シナルリチョウ」という項目はありません。その名前が見られるのは瑠璃鳥(るりちょう)の項目の中の説明文です。
では瑠璃鳥とはどのような鳥でしょうか。
名前の通りで、青い色の部分が特徴的な鳥の中で特定の種を指す言葉として国語辞書では扱われます。
岩波国語辞典では
『ヒタキ科の小鳥で、羽の色がるり色の、ルリビタキ・シナルリチョウ・コルリ等の俗称』と掲載されています。
そして同じ岩波書店の広辞苑では
『①スズメ目ツグミ科の鳥。全体濃い紫青色で、腹部は淡色。台湾、中国などに産し、深山の渓谷にすむ。シナルリチョウなど。②オオルリの別称』
となります。ツグミ科は独立したり、ヒタキ科に含まれたりと過去にも変化しています。現在はヒタキ科に含まれているようです。若干内容は異なるものの、二つの辞書の説明は大筋で同じと見ていいようです。
そして、両者に共通して書かれているのが「シナルリチョウ」です。
そして、この「シナルリチョウ」が、調べても見つからないのです。
自宅にある鳥類に関する本には掲載されていません。
他社の国語辞典にも未掲載。
図書館で様々な本を調べたのですが、やはり見付けられません。
そこで、レファレンスをお願いしました。つまりは図書館職員の方に「一緒に捜して下さい」というお願いしたのです。
つまらない事にお付き合いして頂いているようで、本当に恐縮だったのですが、
「仕事ですから」と気持ちよく対応して下さいました。けれど、駄目です。
職員の方は県立図書館のレファレンスサービスにも問い合わせを掛けて下さりました。やはり見付かりません。
けれど『広辞苑第1版から第7版まで同じ説明が掲載されている』との情報を頂く事が出来ました。
歴史ある説明のようです。
さらに国立国会図書館のレファレンス協同データベースにも、未解決案件としてアップして下さったのですが、結局、この鳥に関する資料は見つかりませんでした。