職場に時々猫が現れる。人里離れた職場だ。
どこをどうはぐれると辿り着くのか分からない。
いつかの女性職員がそんな猫のためにキャットフードを常備している。
数日前、朝の駐車場にキツネが現れた。
驚かさないようにそうっと観察……などと考えていたら、キツネの方から寄って来た。
スマホで写した写真、私のスマホでは大きく写す事は出来ないので
トリミングして、シャープを少しかけてあります。
どうやらどこかで御飯を貰っているらしく、すっかり人慣れしている。
何かくれないかと期待を込め、距離を保ちつつ、目で訴える。
リュックに入っていたビスケットを上げると、喜んで食べる。
一旦建物に入り、キャットフードを手に再び外に出た。
見るとキツネは駐車場内にはいるものの、離れた方の隅に寄ってしまっている。
試しにキャットフードの袋をかざしながら大きく手を振ると、駆け寄って来た。……君は犬か。
「ねえパパ、連れて帰って来たりしちゃ駄目よ」
家に帰って写真を見せると、娘に茶化されます。
「いや出来ないし、しないから」
「分からないよ。雪が降ったりすると『寒そうだったから乗せて来た』とか言いかねないし」
さすがにやらないと思います。
「ホント、人には嫌われるのに、動物には好かれるよね」
「だから誰かが餌付けしてあるキツネだから誰でも懐いているんだって」
……って言うか、前半の「人には……」の部分、言われなくても分かっているし。
今回の記事は危ないかなと思います。
野生の動物にエサを与える……
褒められた事ではないですね。
むしろやってはいけない事。
お叱りがあれば甘んじて受けます。
上司が「ゴンタ」などと勝手に呼び始めている。
『ごんぎつね』にあやかっているのだろうけど、悲しいお話しだ。あやかりたくない。
「もっと可愛い名前にしましょうよ。キャサリンとかキャロラインってどうですか?」
言っていて十分無理は感じている。
「あぶらあげ……」
女性職員がぽつりと言う。
キツネの未来はまだ分からない。
いろいろな思いはある中でしたけど、ワサビは家ネコになりました。
朝、出掛ける前のわずかな時間を私の膝に乗り
夜には、夕飯を食べて風呂上りの私の膝にすぐに乗り、
身動き取れない私に、娘がコーヒーを届けてくれます。
休みの日には、足元を付いて歩きます。
「ポケモン?」
呆れた娘が声を掛けます。うん、本当にそんな感じ。
「よく野良猫やって来られたね」
きっと今、幸せを感じてくれていると信じたいです。


