●高田崇史『鬼門の将軍』新潮社 | 新・駅から駅までウォーキング

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高田崇史『鬼門の将軍』
                新潮社 2017.2.20発行




鬼門の将軍/新潮社
¥価格不明
Amazon.co.jp




★本の内容(Amazon.co.jpより)


大手町の将門塚に転がる生首、宇治川に浮か
ぶ首なし死体。
貴船神社の釘づけ死体を発端に、京都と東京
で続発する怪事件。
京都府警が捜査を進める一方で、事件に関わ
りを持った萬願寺響子は、博覧強記の大学生
・漣と将門怨霊伝説の真偽を追って、成田山
新勝寺、神田明神へ。
歴史の矛盾点から見えてきた、意外きわまり
ない構図とは?
将門怨霊伝説の真実と、奇怪な事件の真相を
解き明かす論理と驚きの長編歴史ミステリー!


★ここだけの話


この作品は「QEDシリーズ」や「神の時空」
シリーズとは違い、単発・読み切りで設定
された小説です。


医学雑誌の編集者・萬願寺響子の周囲で起き
た連続殺人事件。
東京と京都の警察が頭を悩ませているなか、
いとこのかなりオタクっぽい大学生・漣が
少しずつ謎解きを始めます。
そして将門怨霊伝説になぞらえた殺人である
ことがわかってきます。


過去の出来事に関する復讐劇の様相を呈して
きますが、肝心の犯人は最後のほうまでわか
りません。


漣が推理の途中、携帯電話で助言をもらった
り、あやふやな部分を確認したりする相手。
これがなんと、漢方薬局の薬剤師・桑原さん
というから驚きですね。
「QEDシリーズ」で大活躍の桑原崇じゃ
ないですか。
ちゃんと陰でサポートしていました。


平将門は決して怨霊ではなかった。
これを信じていた犯人が連続殺人に利用した。
こういう内容になろうかと思います。


ごくまじめな歴史の謎解きを味わえました。
こういう路線は今後も続けていってほしいで
す。
今期待できるのは高田崇史以外にはいません。


以前『軍神の血脈 楠木正成秘伝』(2013年
講談社)で指摘したこと。
目次のページでは、順に「哀、陰、鬱、縁、
恩、解」と構成されています。
先頭の文字は「あ、い、う、え、お、か」で
した。


今回の場合は、こうです。
やはり目次でプロローグとエピローグを除い
た7つのタイトルの頭文字をつなげて読むと
「たいらまさかど」となります。


高田崇史はいつも本のなかで遊んでいます。
こういうことを探すのもおもしろいですよ。
「ぴぃくん」の本名同様、読者に挑戦し続け
ているように思えてなりません。