●谺健二 『ケムール・ミステリー』 原書房 | 新・駅から駅までウォーキング

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谺健二 『ケムール・ミステリー』
          原書房 2016.3.30発行 




ケムール・ミステリー (ミステリー・リーグ)/原書房
¥2,160
Amazon.co.jp




★本の内容(Amazon.co.jpより引用)


ケムール人を生み出した孤高の天才作家、
成田亨。
彼に魅せられた男が建てた屋敷は、まさに
怪物の異形で覆われていた。
そこで起こる連続密室死。
自殺にしか見えないのだったが…
しかしその「ほころび」から浮かび上がって
きた全体像は誰もが予想しえなかった結末と
ともに崩れ落ちてゆく。
トリックの鬼才が放つ書き下ろし本格推理。


★ここだけの話


作者の名前は「こだま・けんじ」と読みます。
『未明の悪夢』で第8回鮎川賞を受賞して
います。


ある屋敷の離れで連続して起こった自殺。
彼らは皆引きこもりの若者でした。
しかも全員ケムール人のお面をかぶっていた
という共通点がありました。


このケムール人とは、かつて「ウルトラQ」
や「ウルトラマン」などに登場した宇宙人
だそうです。
これについてはまったく覚えていないので、
想像をたくましくするほかありません。


それでもお面をかぶった若者が密室の中で
不可解な自殺を連続して起こすことなど考え
られないことです。
しかも焼死など身元がわからないようにされ
ています。


このことからこれはどうしてもお面をかぶっ
た人がズレていて本人をかたっているのでは
ないかという推理に行きつきます。


読者はズレに気づきながらも誰が誰のかわり
になっていたのかはっきりとわかりません。
こうした書き方に作者のうまさがにじみ出て
います。


ところでケムール人は「煙のごとく消える」
という意味でつけたネーミングだそうです。


ケムール人を知らなくてもおもしろく読め
ました。
きっとケムール人を知っている人は、数倍
おもしろく読めることと思います。