青崎有吾『図書館の殺人』
東京創元社 2016.1.29発行
- 図書館の殺人/東京創元社
- ¥1,944
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)
期末試験中のどこか落ち着かない、ざわつい
た雰囲気の風ヶ丘高校。
試験勉強をしようと学校最寄りの風ヶ丘図書
館に向かった袴田柚乃は、殺人事件捜査のア
ドバイザーとして、警察と一緒にいる裏染天
馬と出会う。
男子大学生が閉館後の図書館内で殺害された
事件らしいけど、試験中にこんなことをして
いていいの?
閉館後に、山田風太郎の『人間臨終図巻』で
撲殺された被害者は、なんとなんと、二つの
奇妙なダイイングメッセージを残していた。
若き平成のエラリー・クイーンが満を持して
贈る第三長編。
“館"の舞台は図書館、そしてダイイングメ
ッセージもの!
★ここだけの話
『体育館の殺人』と『水族館の殺人』、さら
には短編集『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』に登
場したいつものメンバーが活躍します。
探偵役は相変わらずの高校2年生の裏染天馬
で、刑事たちを翻弄しています。
素人の論理が警察官の捜査を上回る設定が、
この作品ではたくさん見ることができ、そこ
がおもしろいですね。
警察もだんだんと信頼を寄せるようになりつ
つあります。
閉館後の真っ暗な図書館の中で、被害者はど
うしてダイイングメッセージを残せたのかが
一番興味をもった箇所です。
また、今回は真犯人とおぼしき人物が次々と
変わり、なかなか特定できない歯がゆさも感
じました。
しかし最後の謎解き場面、最高です。
すべてが論理的につながってスッキリさせて
くれました。
事件とはあまり関係のないところで、気にな
ることが2つあります。
1つ目は今回の作品で裏染天馬の中学生時代
の様子が描かれた部分。
難しい過去があるようです。
もう1つは八橋千鶴からの攻撃をスルリとか
わし、反撃したところです。
ここは試験中なのに大変スマートに立ち回る
ことができました。
結果、学年1位を獲得。
彼はいつ勉強しているのかわかりません。
こうした内容が、またこのシリーズの次の作
品の伏線となることでしょう。
さて、次回の館はどこになるのでしょう。
綾辻行人とはダブらないように考えるのも、
大変かと思います。
美術館か博物館なら多分大丈夫でしょう。
楽しみにしています。