西尾維新 『掟上今日子の退職願』
講談社 2015.12.16発行
- 掟上今日子の退職願/講談社
- ¥1,350
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより)
退職願を胸ポケットに忍ばせ、波止場警部は
揺れていた。
彼女の最後の事件は、公園の噴水に浮かび上
がった水死体。
しかしその不可解さゆえ、名高い忘却探偵・
掟上今日子と協力捜査することになり……。
辞めたがりの刑事と仕事中毒の名探偵。
奇妙なタッグが謎に挑む!
★ここだけの話
今回の掟上今日子シリーズの5作目。
4つの短編が収められています。
テレビドラマを見た方は当然のごとく知って
いるわけですが、主人公は超難事件をすべて
一日で解決してしまう忘却探偵・掟上今日子。
奇抜なシチュエーションは相変わらずです。
一日たったら、全てを忘れてしまうこと。
睡眠をとったらダメなんです。
そこまでの記憶がリセットされてしまうわけ
です。
だからどんな事件も即日で解決しなければな
らないのです。
4つの短編は、それぞれバラバラ死体、飛び
降り死体、絞殺死体、水死体と独立した内容
です。
しかし掟上今日子と相棒となる4人の警察官
はすべて女性の警部となっています。
第1話から順に、佐和沢警部、鬼庭警部、山
野辺警部、波止場警部という面々です。
タイトルにもなっている退職願は第4話から
とったようです。
結婚のため警察官をやめる決意をした波止場
警部の胸のポケットには退職願が入っていま
した。
彼女の最後の事件となったのが水死体で発見
された女性の殺人捜査。
掟上今日子と2人で、なぜ見つかりやすい浅
い池に死体を捨てたのか、と考えます。
読み終わってみれば、なるほどと頷ける答え
でした。
4編とも掟上今日子がしっかりとした謎解き
をしています。
ストレスのこないミステリだと言えるでしょ
う。
最後に一言。
実におかしなところが2ヵ所あります。
一つ目は、最後の事件の解説です。
その中で「公園の噴水に浮かび上がった水死
体」と書いてありますが、本の中では「人工
的に造られたため池に浮かび上がった水死体」
でした。
これは大きな間違いですよ。
二つ目は、250ページの次回予告の文章。
そこにはこう書かれています。
「忘却探偵シリーズ第五弾、2016年発売
! 掟上今日子の婚姻届」と。
これはもう完璧な間違い。
今回の「退職届」が第5弾で、2016年に
出る次回作「婚姻届」は第6弾でなければな
りません。
立て続けに西尾維新の本が出るので、担当編
集者の方が忙しいのはわかるのですが、この
2つはひどい見落としだと言わざるをえませ
ん。
ゆるんだタガを元に戻しましょう!