車浮代 『蔦重の教え』
飛鳥新社 2014.2.10発行
- 蔦重の教え/飛鳥新社
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)
55歳、依願退職願いを強要された人生がけっ
ぷちのサラリーマン、武村竹男(タケ)がお稲
荷さんの怒りを買い、タイムスリップして転
がり込んだのは、「写楽」や「歌麿」を生み
育てた江戸時代の出版界の風雲児、蔦屋重三
郎(蔦重)のところだった!
23歳の青年に若返った状態で蔦重に拾われた
タケは、時代の寵児となる絵師たちと親交を
重ねながら、蔦重に叱咤激励され、ものづく
り、商売、ひいては人生の極意を学んでいく。
彼の言う「成功の本質」とは必ずしも口当た
りの良いものだけではないけれど、なぜか心
に引っかかるものばかりで―。
江戸時代に一世を風靡した破天荒プロデュー
サーから生き方と商売の極意を学ぶ、時空を
超えた実用エンタテインメント小説!
★ここだけの話
作者の車浮代は時代小説家。
江戸文化、特に浮世絵と江戸料理に造詣が深
いようです。
この本を読むと、江戸時代の出版業界と料理
のことに詳しくなれます。
また、吉原の花魁や江戸庶民の風俗のことに
ついても事細かに描かれています。
そういう意味では大変楽しい本だと言えます。
さて、今回この本を購入したのは、ある目的
があってのことです。
それは「東洲斎写楽」の正体を、作者がどう
書いているのか、という一点です。
NHKの特番では阿波徳島藩お抱えの能役者
「斎藤十郎兵衛」がその人だと言っていまし
た。
島田荘司は外国人説でした。
ここを彼女がどう推理しているのかを知りた
かったのです。
結果は、芝居小屋の大道具のおやっさんと
勝川春朗の合作ということになっています。
斎藤十郎兵衛もでてきますが、「東洲斎写楽」
ではありませんでした。
この勝川春朗は、のちの葛飾北斎となる人
です。
また「写楽」の名前ですが、「写す楽しみ」
でなく、「しゃらくせぇ」から名付けたこと
になっていました。
なるほど、ですね。
今年はすでに「大浮世絵展」を江戸東京博物
館で見てきました。
「東洲斎写楽」の浮世絵ももちろん展示され
ていて、初期の役者絵に人気が集まっていま
す。
謎の浮世絵師、写楽の正体。
歴史推理として、この本のなかで語られてい
たことはそれなりに納得できておもしろかっ
たです。
きっと一般の方はそんな変な読み方はしない
で、商売の極意とか生き方などに感動するこ
とと思います。
この本のウリもそこにありますから。