歌野晶午『コモリと子守り』
光文社 2012.12.20発行
- コモリと子守り/光文社
- ¥1,785
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)
引きこもりの友人の窮地を救うため、17歳の舞田
ひとみは幼児誘拐事件の謎を追うのだが……。
ひとつの事件の解決は、あらたな事件の始まりだった!
勉強に育児に忙しいひとみが、前代未聞の難事件に
挑む!!
★ここだけの話
この著者の歌野晶午と言えば説明の必要がないくらい
の大御所です。
1988年『長い家の殺人』でデビュー。
2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回
日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞を受賞。
2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞
を再度受賞しています。
今回の長編は、中学生の時不登校になって以来、自宅
に引きこもっている馬場由宇が引き込まれる事件です。
まず彼が2歳の幼児誘拐をしたのが最初の事件。
その幼児が別の人に誘拐されてしまいます。
この謎を解いて、事件を無事解決するのが、いまや
17歳に成長した舞田ひとみなんです。
彼女の最初の登場場面が2歳の幼児を連れているので
14歳からのこの3年間に何が起きたのか、と勘繰っ
てしまいました。
けれども父親が再婚して、新しい母との間に出来た
子供だったので、彼女は年の離れた弟の面倒を見て
いたのだとわかりホッとしました。
実は舞田ひとみは、11歳の時と14歳の時の2冊が
本になって発売されています。
これを読んでいると、彼女の山あり谷ありの人生が
わかります。
このあと2つの誘拐事件がほぼ同時に発生します。
でも、この誘拐2件は複雑に絡み合った1つの事件
でした。
身代金を奪取する場面、ハラハラドキドキです。
犯人からの電話やメールに隠された巧妙なトリックは
群を抜いておもしろかったです。
警察のたどり着かない事件の真相に、舞田ひとみの
推理でたどり着くことができます。
誘拐事件の解決だけではなく、馬場由宇の家族の問題
にも首をつっこむなど、舞田ひとみは本当に素晴らし
いキャラクターに描かれているのです。
勉強も育児も探偵も、きっちりこなすスーパースター
に成長したんですね。
それに、小さい頃に別れてしまった実の母親も登場
しました。
しかし舞田ひとみは強い。
本当に人間的に強いと思いました。
11歳と14歳の活躍はこちらです。
- 舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (光文社文庫)/光文社
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