●高田崇史 『カンナ 京都の霊前』 講談社ノベルズ | 新・駅から駅までウォーキング

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メモこの本で 歴史推理は 書きおさめ本


高田崇史 『カンナ 京都の霊前』 
             講談社ノベルズ 2012.7.4発行 

カンナ 京都の霊前 (講談社ノベルス)/講談社
¥945
Amazon.co.jp


★本の内容(Amazon.co.jpより引用)


神職にして忍の末裔である鴨志田甲斐。
彼の生家、伊賀・出賀茂神社には、現代では語られる
ことのない日本史の真実が記されているという社伝、
「蘇我大臣馬子傳暦」がある。
しかし、この「傳暦」が盗まれてしまった。
犯人は神社の近くに暮らす早乙女志乃芙の夫、諒司ら
しい。

さらに、この事件を機に、志乃芙の父である雲居良源
が率いる忍の集団、波多野村雲流や甲斐の婚約者、
海棠聡美の祖父鍬次郎、そして一切が謎に包まれた
玉兎と称する集団らが、出賀茂神社の周囲で不穏な
動きを見せ始める。

それまではただ漫然と日々を送っていた甲斐だが、
否応なく「傳暦」奪還の戦いに巻き込まれていく。
目に見えない敵からの執拗な攻撃を凌いでいくなかで、
聡美や親友・柏木竜之介にも危険が迫る。
そして、出賀茂神社の巫女である中村貴湖や忍者犬の
ほうろくとともに行動していくうちに、彼自身の心身
にも様々な変化が……!?。

はたして「傳暦」を』狙うものたちの目的は何なのか?
「傳暦」には何が記されているのか? 

全ての謎の答えを求めて、甲斐と貴湖は決戦の地、
京都へと発つ――。


★ここだけの話


うわっ、残念です。
歴史推理を身近でおもしろい小説に仕上げていただけ
に、終了してしまうのは寂しい限りです。

昨年10月に、「QED」シリーズ(17作+番外2作)
が終わってしまい、今また「カンナ」シリーズが合計
9作で最後となりました。


『カンナ』シリーズは、一般に知られる史実とは違う
「闇の日本史」を記した社伝を巡っての闘いが中心と
なっていました。
歴史アドベンチャー作品という位置付けです。


第1作「カンナ 飛鳥の光臨」に立ち戻り、今回の
第9作もまた「聖徳太子」の謎、実在の人物かどうか、
に焦点が当てられます。
さらに朝廷に仕えた古代の氏族、蘇我氏や秦氏の謎
にも迫ります。


「QED」シリーズと違い、著者自身の発想を膨らま
せている部分は、かなり奔放に描かれています。
敵か味方かはっきりとしない集団がいくつも出てきて
忍者の戦いを繰り広げています。
そうした中で主人公の鴨志田甲斐は、立派に一人前に
成長できました。
彼の周囲では、決してハッピーエンドでない部分も
あり、まだまだ波乱の人生が続くようです。
しかしこのシリーズは、若干中途半端な感じのまま
終わってしまうようです。


あと、「QED」シリーズの登場人物たちが、もっと
この「カンナ」シリーズに絡んでくるのかと思って
いました。
今作品で言えば、毒草師・御名形史紋(「QED」
シリーズ及び番外2作に登場)が終盤に突然現われる
だけです。
ユニークなキャラクター揃いだっただけに、そういう
面は何かもったいない気がします。


また個人的に、「忍者犬ほうろく」のイラストが大好き
でした。


これで高田崇史の2本の歴史推理シリーズが終わって
しまいました。
デビュー以来すべての作品を読んできただけに残念で
なりません。
ついに歴史のネタがなくなってしまったのかもしれま
せん。


まさか「千葉千波の事件日記」シリーズは終わりま
せんよね。
ピーくんの活躍だけが今後の楽しみです。