中山七里 『贖罪の奏鳴曲』
講談社 2011.12.21発行
- 贖罪の奏鳴曲/中山 七里
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
★本の内容(Amazon.co.jpより引用)
どんでん返しが止まらない!
怒濤のリーガル・サスペンス!!
大森 望氏、推奨!
封印された過去が、新たな「罪」へ。
「正義」と「贖罪」の意味を問う驚愕のミステリー。
『さよならドビュッシー』で「このミステリーがすご
い!」大賞を受賞した作家による新たな傑作誕生!
弁護士・御子柴礼司は、ある晩、記者の死体を遺棄
した。
死体を調べた警察は、御子柴に辿りつき事情を聞く。
だが、彼には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁
のアリバイ」があった――。
★ここだけの話
作者の中山七里は、本名ではなくペンネームです。
行ったことはないのですが、下呂にある渓谷の名前だ
そうです。
若い時小説を書いて、懸賞に応募したことがありまし
たが、大学卒業後は断念したようです。
それが、島田荘司と書店のサイン会で出会ったことが
きっかけで、再び小説を書き始めました。
第8回このミステリーがすごい!大賞で、「さよなら
ドビュッシー」が大賞を受賞、もう1作最終選考に
残った作品が「連続殺人鬼カエル男」としてのちに
出版されました。
岬洋介シリーズとして「さよならドビュッシー」と
「おやすみラフマニノフ」があります。
さて、今回の作品『贖罪の奏鳴曲』は特に作品として
の連続性はありませんが、タイトルの奏鳴曲=ソナタ
が、少しだけ音楽関連でつながっているようにも
見受けられます。
主人公の御子柴礼司が過去に犯罪を犯し、医療少年院
で過ごした時期に、ベートーヴェンのピアノソナタ
「熱情」に感銘を受けました。
喜悦、憤怒、哀悼、安楽が極彩色の束となり、絡み合
いながら渦巻いていたそうです。
アリバイ崩しについては、とりたててびっくりする
内容ではありません。
それよりも、弁護士としての御子柴礼司の生き方と、
法廷内の裁判の様子、そして何よりも被告人と向き合
う場面が迫力たっぷりに描かれています。
現在扱っている事件が、最後になってどんでん返しの
連続で息もつかせぬページが続きます。
「贖罪」は御子柴礼司の「自分が救われたい」という
思いを表現したものだと言えるでしょう。