寄り道ギャラリー1分間(その3)
今日は、ドミニク・アングル
ドミニク・アングル
『ユピテルとテティス』1807~25頃
(東京富士美術館蔵)
★ちょっとひとこと
ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル
(1780~1867)はフランス南西部のモントーバンの
生れ。
父親は装飾美術家で王立美術アカデミー会員だった。
子供の頃、その父親から素描の手ほどきを受け、
1797年パリに出て新古典派の巨匠ダヴィッドの
アトリエに入門する。
1809年から15年間ローマとフィレンツェに住み、
ラファエロやミケランジェロの研究をした。
『ユピテルとテティス』は、おそらくローマ滞在中
の時期に描かれた作品で、ローマ神話に登場する神
ユピテル(英語名はジュピター)を描いたもの。
神話のことには疎いので、ここに登場するユピテル
とテティスとの関連についてはよくわからない。
ただ、女性の裸体部分を見ると、わりあいサラっと
描かれているような気がする。
ルーヴルの「グランド・オダリスク」よりは前に
描いたように見える。
しかしアングルは手もとにおいて、長年筆を加える
傾向もあるため、制作年が特定できないのだろう。
師匠ダヴィッド失脚後、新古典主義の中心となり、
フランス絵画界に君臨した。
古典主義に回帰しながらも、新しい作風を目指し、
台頭するドラクロワらのロマン主義に対抗して
大変な時代を乗り切った偉大な画家である。
影響を受けた後世の画家は数知れない。
ドガ、ルノワール、セザンヌ、ピカソ、マティス
など。
ただ本来の耽美的、官能的な絵画は、アングルの
あと、すぐには継承されなかった。
このあとの表現方法の多様化は目を見張るものが
ある。
サロンの役目も、そろそろ終わりにさしかかって
いる。
寄り道ギャラリー1分間(その3)
‥ドミニク・アングル
2011.2.1