エルミタージュ美術館(11)
‥キース・ファン・ドンゲン(2)
キース・ファン・ドンゲン
『黒い帽子の女』1908年
※顔の一部に若干照明が映りこんでいます。
申し訳ありません。
★ちょっとひとこと
キース・ファン・ドンゲン(1877~1968)は
オランダの生れ。
彼はほとんど独学で絵を勉強した。
若い頃はロッテルダムの娼婦たちを描いていたと
いう。
その後、パリに出て野獣派(フォーヴィスム)に
参加。
都会的なセンスで数多くの女性を描いた。
フォーヴィスムの特徴である情熱的な色彩と
彼独特の計画されたデザインの女性像は人気が
高かった。
どことなくコケティッシュな表情は魅力的だ。
『黒い帽子の女』はどことなく憂いを感じる。
ややズレた方向を見つめている目はせつなそう
だ。
そう言えば顔色も少し悪い。
黒い帽子に暗い緑の服だから、よけいに悪く
見えるのかもしれない。
上流階級での付き合いに疲れたのですか、と
聞いてみたくなる。
ドンゲンの絵には珍しく、冷たい雰囲気のする
作品だ。
ところでオランダ人画家の肖像画はそれぞれに
特徴があり、皆人気がある。
レンブラントもハルスもゴッホも、そして
もちろんフェルメールも。
写真が普及した時代になっても、ドンゲンには
肖像画の依頼が絶えなかったということだ。
エルミタージュ美術館(11)
‥キース・ファン・ドンゲン(2)
2003.9.21