Ψ筆者作「サンタンジェロ 2」 F30 油彩
中学の時、校舎の入口付近に絵はがきを売る営業マンが月何回か来ていた。ただの絵はがきではなく、当時としては相当高級の、世界の名所写真の表面にビニールコートを施したもので、何枚かがワンセットになっていた。そのうちの一枚にサンタンジェロとテベレ川があった。それを小遣いで買い、額に入れ長く筆者の机の上に置いていた。以来その場所は筆者のヨーロッパへの憧れの原点となった。爾来何十年もの時が流れ、ついに彼の地を訪れることが出来た。フレームの中の夢幻が現実となって眼前にある!近くのバチカンや川の向こうは観光客でごった返していたが、橋を渡った此岸は以外に静かで、他に客のいないカフェに腰を下ろし、この景色を観ながらのブランチとなった。旅の終わりに近づいた、ほっとした心持に、透明な青空をバックの赤い城、そしてこの世で出逢った最高の光景、舞台は揃っていた。