ψ  筆者作 「ゴッホの部屋」F10


ゴッホ作「アルルの部屋」

 この部屋は、オーヴェール・シュル・オワーズにあるラヴ亭の二階の、言わずと知れたゴッホ終焉の部屋である。近くの麦畑でピストルを撃ったが、即死することなく、恐らく吹き出る血を抑えながら、ヨロヨロと右手の階段を上って来たのだろう。左のベッドに横たわり、やがて息絶えた。参考までに、ゴッホ自身の手による部屋の絵をアップしたが、これはアルルの部屋の絵で、似た間取りだが、ベッドは木造りでこれと違う。
 ここはゴッホ記念館のような有料施設で、一階のラヴ亭のレストランを上りここに入れる。写真は禁止されていたが、訪れる人も少なく、遥か日本から来たんだ、許せとばかりに素早くシャッターを切った。この部屋を通り、閉まっていたドアを開けたら、右手の階段の踊り場に出てビックリしたが、ゴッホの宿の繋がりが見えて誠にハッピーだった。
 美術史上、造形派の巨星たるセザンヌと並び、主情派の巨星として後世の美術界を二分する程の業績を残したこの画家にしてこの部屋!壁や床の佇まい、暗い階段の電球、総てが誰かに見せたいような芸術の過酷さと清廉さを語っているようで、これは絵にすべきと思った。